HEVC、4K画質対応の次世代モバイル中継装置。高品質な素材伝送、低遅延を実現
近畿大学は9月22日、5Gを活用した遠隔医療支援を目的とし、胎児心臓エコー映像を4K映像伝送システム「LiveU(ライヴユー)」を用いてリアルタイム伝送する実証実験を実施すると発表した。この研究は、同大、和歌山県串本町、株式会社NTTドコモの研究グループによるもの。
画像はリリースより
同実験は、近畿大学、日本電信電話株式会社、ドコモ、西日本電信電話株式会社、株式会社NTTデータの5者が2020年11月24日に締結した、「5Gの推進、「スマートシティ・スマートキャンパス」創造に関する包括連携協定」の取り組みのひとつ、「近畿大学病院と関連病院である、くしもと町立病院間で、5Gを活用した高精細画像のリアルタイム送受信を行い、へき地での遠隔医療支援の実証実験」。近畿大学はドコモが2020年9月30日に報道発表した「5Gを活用した映像伝送ソリューションの医療機関向けモニタープログラムを提供」(以下、LiveU医療モニタープログラム)に参画しており、そのプログラムを活用して実施する。
同実験は、串本町のくしもと町立病院・産婦人科と、医療設備の整った近畿大学病院間の遠隔医療支援を行うもの。具体的には、くしもと町立病院が超音波画像診断装置で撮影した胎児心臓エコーの映像を「LiveU」からドコモの5G回線を介して映像を伝送し、遠隔医療支援を実施。そのほか、手技を行う医師の手元の4K映像も同時に伝送するなどの実用化に向けた検証を行う。
「LiveU」は、高画質映像の低遅延伝送に対応する小型モバイル中継装置。HEVC、4K画質に対応した次世代モバイル中継装置で、高品質な素材伝送、低遅延を実現する。
受信した映像で対面の医療と遜色なく高度な医療提供できるかを検証
同実験で扱う胎児心臓エコー映像は、胎児の2cmほどの小さな心臓の繊細な動き、陰り、変化などを捉えた高精細なエコー映像。約120km離れた近畿大学病院へ5Gで遅延なく伝送し、受信した映像で対面の医療と遜色なく高度な医療が提供できるかどうかを検証する取り組みだ。
本実験の実施は、今後、医療機関が連携し遠隔地の医療を支援することで、さらに充実した安心・安全な医療を展開できることを意味する。また、このような先進技術を医療現場に展開することによって、コロナ禍においても質の高い医療を、遠隔地を含む全国の他の医療機関に展開する礎になることも期待される。
近畿大学は同実験を通過点と捉え、実証で得たデータや課題などを分析し、とりわけ、医師不足が指摘されている過疎地の周産期医療における人員不足の解消や高度な医療の展開を進めていく。また診療科の枠を超えた遠隔医療のさらなるICTの展開に関する検討をドコモとともに進め、後日、同実験結果を近畿大学から公表するとしている。
ドコモは、今後の医療現場における高精細リアルタイム映像伝送の利活用の可能性を探り、将来的には5Gを活用したさらなる低遅延でかつ高精細な医用映像伝送の実現につなげていくとしている。
過疎地の周産期医療における常用的な遠隔医療提供、医療向けソリューションの創出を目指す
今後、「LiveU」医療モニタープログラムのスキームに則り、産婦人科ならびに小児科協同チームによる超音波画像診断装置を中心とした高精細医用映像機器と、5Gサービスを活用し、的確な医療提供の実現、さらに過疎地の周産期医療における診断・治療における常用的な遠隔医療提供に向けた検討を進め、次世代の医療向けソリューションの創出や、新規ビジネスモデルの可能性を探っていくとしている。
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