国内の予防接種で使用されるワクチンは2回接種を原則としているが、一定期間経過すると有効性が減弱すること、流行中のデルタ株に対する予防効果が見られない人が報告されていることが課題となっている。
一方、海外では追加接種後に中和抗体価が増加するとの報告もあり、イスラエルでは12歳以上の人に8月から開始するなど、既に複数の国が対象者を絞った上で着手している。
厚生労働省は、国内外の感染動向やワクチン効果の持続期間を踏まえ追加接種を行う必要性があると判断。接種間隔は2回目接種の完了から8カ月以上経過していること、ワクチンは1、2回目の接種に用いたものと同一にすることを提案した。接種対象者は科学的知見や海外の対応状況を考慮して判断するとした。
分科会ではこれらの意見を踏まえ、厚労省の提案内容を概ね了承した。追加接種の実施について、福島若葉委員(大阪市立大学大学院教授)は「追加接種はいずれ必要になると考えていた。抗体価は必ず下がるので、しっかりと免疫をつけるべき」とし、坂元昇委員(川崎市健康福祉局医務監)も「諸外国が追加接種を進める中、より良いものを求める国民に対して接種を行わないという決断はできない」と異論は出なかった。
ただ、2回目接種後から追加接種までの間隔を8カ月以上としたことについては様々な意見が出た。伊藤定勉委員(滋賀県豊郷町長)は「8カ月後では、来年3~4月が接種時期となることもある。転出入や人事異動とも重なり行政が混乱するので、柔軟に対応してほしい」と検討が必要との考えを示した。
また、WHOがワクチン普及の遅れている発展途上国に配慮して年内の追加接種を控えるよう求めていることから、坂元氏は「先進国のエゴにならないよう、年明けからの実施を考えるべき」と述べ、接種間隔について議論を継続することとした。
接種対象者としては医療関係者を優先すべきとの声が相次いだ。伊藤澄信委員(国立病院機構本部総合研究センター長)は、医療関係者の接種から半年以上経過しているため、「接種者で8月に感染した人が出ている。優先対象者として対応すべき」と訴えた。厚労省も、「医療関係者の接種が優先的に進むと思う」との考えを示した。