富山県は14日、医薬品医療機器等法に基づき、漢方製剤などを製造販売する北日本製薬に16日から10月13日まで28日間の製造販売業の業務停止命令を出した。一部の漢方製剤で、承認書と異なる方法で製造していた実態を重く見たもの。現在までに健康被害は報告されておらず、自主回収が行われている。原因究明、再発防止策を含めた改善計画の策定などを求めている。
同社は、漢方製剤の「防風通聖散料エキス錠『東亜』」などについて、承認書と異なる量の添加剤、記載のない添加剤を用いて製造する反面、記録には承認書通りに使用したなど虚偽記載を行っていた。
同様に漢方製剤の「温経湯エキス顆粒KM」などの出荷試験で乾燥減量値の結果が不適合となり、その後の再試験では適合となったものの、妥当性を検討することなく再試験結果を採用していたことも判明。製品出荷後に行う長期安定性試験で規格不適合となったが、回収など適切な対応を取らなかったことも確認された。
県が6月に無通告立入調査を実施した上で、同社内を調査した結果、これらの不正事案が判明した。古いものでは、2004年から行われていた。問題となった製品は自主回収が進められており、現在までに24品目が回収された。県は「健康被害の恐れは低い」と見ており、実際に健康被害は報告されていない。
ただ、これら不適切な製造実態が薬機法に抵触すると判断。製造設備の維持管理や安全対策に関する業務などを除き、医薬品製造業を16日から10月11日までの26日間、医薬品製造販売業を同13日までの28日間業務停止する処分を行った。
さらに、違反内容の原因究明と改善、製造管理者が適切に監督して管理の義務を履行できる体制の構築など、法令遵守のための体制の抜本的改革、再発防止策を含めた改善計画の策定を求めた。改善計画は1カ月以内に提出するよう求めている。
行政処分を受け、北日本製薬は同日付で「消費者、取引先をはじめとする全関係者に心よりお詫び申し上げる。消費者の生命・健康に関わる医薬品の製造販売等を行う企業という意識を常に強く持ち続け、全社を挙げた法令遵守の体制構築に努める」とコメントした。