新型コロナウイルス感染症をめぐっては、自宅療養・宿泊療養患者が急増し、自宅などで療養する患者を診察する医師と、休日や夜間、緊急時の調剤に対応可能な薬局とのマッチングが課題と指摘されている。また、デキサメタゾン製剤の需要急増で安定供給の必要性も生じている。
こうした状況を受け日薬では、患者に必要な医薬品を滞りなく提供するためには、各地域の実情に応じて、医師会や自治体、医薬品卸売販売業者と薬剤師会が協議の場を持ち、相互に協力・連携を図り、地域内で医薬品提供体制を構築する必要があるとの考えを示している。
具体的には、新型コロナウイルス感染症の対症療法薬について、平日の日中は地域の薬局で対応し、夜間・休日、時間外、緊急時は地域で指定した特定の薬局で対応するなど地域の実情に応じて対応方針を整理し、関係者で共有しておくことが重要とした。
その上で休日・夜間、時間外、緊急時に対応する医療機関や薬局をリスト化し、処方や調剤の流れ、医療機関と薬局の連絡等の手順を策定することを留意点として明記。医療機関と薬局が適宜連携して対応できるようにするため相互の緊急連絡先を共有し、地域で使用する医薬品のリスト化をするよう要請した。解熱鎮痛剤と鎮咳剤は種類が多いため、使用する医薬品を予め決めることや、処方箋備考欄への「CoV自宅」「CoV宿泊」の記載など処方箋の取り扱いを再確認するよう求めた。
医薬品卸については自宅療養・宿泊療養者数、対応する医療機関や薬局数を踏まえ、地域に必要と想定される量の医薬品確保と、医薬品卸から医療機関・薬局への供給手順を決めておく必要があるとした。
薬局の対応については、平時における夜間・休日対応体制の人員拡充や、地域の運送業者と連携し配送体制を構築すること、薬剤師が服用期間中のフォローアップを行った際に把握した患者の状態を保健所や医師に提供し、療養患者のフォローアップ業務に活用することも考慮すべきとした。