厚生労働省は6日、米ノババックスの新型コロナウイルスワクチンについて、早ければ2022年初頭から1億5000万回分の供給を受ける契約を、国内の生産・流通を担う武田薬品と締結した。厚労省が新型コロナウイルスワクチンの供給を受けるのは、ファイザー製、モデルナ製、アストラゼネカ製に続き、4種類目となる。翌7日の閣議後会見で、田村憲久厚労相は「ワクチンをしっかりと確保していくことは非常に重要」と意義を強調した。
国内での薬事承認を前提に、概ね1年間で1億5000万回分の供給を受ける。同社は追加接種への使用も視野に開発を進めており、変異株への対応も含まれているとした。
ノババックス製品「TAK-019」は、遺伝子組み換え蛋白質ナノ粒子技術を用いて開発されたワクチンで、高レベルの中和抗体産生を促すため、アジュバントを含有している。
2020年8月に武田が同製品の国内開発・製造・流通に関する提携に合意し、ノババックスから製造技術移転を受けた。同社が国内向けに整備した新型インフルエンザ用のワクチン生産基盤を活用してパンデミック対応を強化している。
新型コロナウイルスワクチンの生産体制を整備する製薬企業に助成金を交付する、厚労省の「ワクチン生産体制等緊急整備事業(第1次公募)」の対象企業として交付された301億4000万円で設備投資を行い、山口県の光工場で「TAK-019」の生産能力の整備を進めている。年間2億5000万回分以上の生産能力に増強する。
また、開発についても武田が国内治験を実施し、承認取得後に「TAK-019」を供給する予定だ。
厚労省では、ノババックス製品以外の22年以降のワクチン供給見通しとして、22年初頭から米モデルナ製品5000万回分供給の追加契約を結んでいる。また、米ファイザー製品も来年初頭から1億2000万回分の供給を前提に協議が行われている。