7月実施の2次公募で採択されたのは、富士フイルム富山化学の抗インフルエンザウイルス薬「ファビピラビル」、塩野義製薬の「S-217622」、英アストラゼネカの「AZD7442」の3社3事業。
5月に行われた1次公募と同様に、2020年度第3次補正予算から補助金が交付されるが、各事業への交付額は決まっていない。
2次公募では、6事業を厚労省の評価委員会が選定した結果、薬事承認が実現可能見込みであること、新薬開発に関する実績等の観点から、これら3社3事業が適当と判断された。
ファビピラビルは、軽症・中等症患者を対象とした企業治験を踏まえ、新型コロナウイルスを効能・効果とする一部変更承認申請を富士フイルム富山化学が2020年10月に行った。しかし、同12月の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で「現時点で得られたデータから有効性を明確に判断するのは困難」と結論づけられたため、継続審議となっている。
「S-217622」は、ウイルス増殖に関わる3CLプロテアーゼを選択的に阻害して増殖を抑える経口薬。7月に国内第I相試験が開始され、早ければ年内に第II相試験を実施するとの見通しが示されている。
「AZD7442」は、コロナ患者が持つ2種類の抗体を組み合わせた長時間作用型抗体で、1回接種で6~12カ月間の治療効果が見込まれている。1月から、安全性と有効性を確認する国際共同第III相試験、3月からは安全性と忍容性を評価する国内第I相試験が実施されている。
支援事業は、治療薬として開発中の薬剤のうち、第II相試験、第III相試験段階にあるものを対象に、試験にかかる費用を補助金として交付し、国内での実用化を加速化させるもの。承認申請を行うことを前提に支援し、薬価収載を目標としている。
1次公募の選定結果では、中外製薬の「REGN-COV2」など4社7事業が採択された。「REGN-COV2」はウイルスのスパイク蛋白質に結合する中和抗体薬で、7月に「カシリビマブ、イムデビマブ」(ロナプリーブ点滴静注セット)として特例承認されている。
3次公募の実施は未定としている。