新型コロナウイルス感染症の自宅療養者が急増する中、中等症IIの治療に用いられるデカドロンは想定外の発注数量となったため出荷調整が行われており、安定的な流通の確保が困難な状況だ。都薬では33の医薬品・情報管理センターを持ち、そのうち16拠点は医薬品卸売販売業か薬局の許可を得ており、医薬品の分割販売業務を行うことができる。今後の流通量増加から薬局でも在庫不足になることを見込み、同センターと地域薬剤師会が指定する基幹薬局を活用し、ステロイド剤の安定供給を図っていく方針だ。
既に日医工からは医薬品・情報管理センターと基幹薬局からの発注に対して、できる限り優先的に納入できるよう協力するとの前向きな回答を得ている。アルフレッサ、スズケン、メディセオ、東邦薬品の4医薬品卸にも出荷調整医薬品への対応に関する協力依頼通知を発出した。
基幹薬局については4日に、地域薬剤師会会長宛に通知を発出。会員薬局から分割販売の依頼に対応できる薬局を必要最小限度の範囲で選定し、地区の卸売業者と連携を図った上で過剰な在庫とならないよう適正な数の確保を要請した。
■都がバーチャル診療開始‐医薬品の自宅配送が課題
また、新型コロナウイルス感染症の自宅療養者に対するオンライン診療体制が稼働するのを受け、都薬でも夜間対応の処方箋調剤に対応できる薬局の把握を行っている。
東京都が東京都医師会に対し、コロナ患者がオンライン診療を受けるためのバーチャル待合室を設置する。自宅で在宅療養している検査陽性者が診察を受けたい場合に各保健所が検査陽性者を選定し、都内の医師がオンラインで診療する仕組みとなっている。都医から都薬には、オンライン診療に伴う処方箋調剤で協力要請が行われている。
具体的には診療した医療機関で自宅へ届けてくれる薬局のリストを提示し、患者がリストの中から薬局を選択し、患者が指定した薬局に対してFAXで処方箋が送付され、電話などで患者との服薬指導を実施後、患者宅に薬剤を配送するか届けることになる。
まずは多摩地区の保健所管内の陽性者を対象に実施し、今月中旬には23区内にも広げていく予定だ。診療時間も午後6時から午後9時の3時間限定となっている。
現在、都薬では、受付時間が午後6~9時までの診療に対応でき、当日中に患者宅へ薬剤を配送、届けることが可能な薬局と、または翌日中に患者宅へ薬剤を配送、届けることが可能な薬局が都内にどれだけあるか地区薬剤師会を通じて調査している。
都薬の高橋正夫副会長は、3日の定例会見で、「対応できる薬局はいくつかあることは分かっているが、例えば夜7時で店を閉めている薬局が夜10時まで残れるかなど、患者さんの住居に近いところでどの程度の薬局を確保できるかが重要」と述べた。
永田泰造会長は、「多摩地区だとバーチャル診療して薬剤師が薬を届けるまでに片道で1時間、往復で2時間かかる。その間に他の処方箋が来たらどうすればいいかなど薬の配送手段をどう考えていけばいいかが解決できていないのが課題」と語った。