■厚労省覆面調査
厚生労働省は3日、2020年度「医薬品販売制度実態把握調査」(覆面調査)の結果を公表した。インターネット販売で、コデインなど濫用の懸念がある医薬品を適切に販売したのは約73%と前年度から27ポイント上昇した。店舗販売でも同様の変化が見られ、全体的に改善または横ばいの傾向が見られた。
調査は、薬局・薬店が店舗やインターネットで要指導医薬品や一般用医薬品が適正に販売されているかどうかを把握するため、調査員が消費者を装って実施。今回は、5025店舗(薬局1861件、店舗販売業3164件)、インターネット販売サイト500件を対象に行った。
店舗販売の調査結果を見ると、コデイン(鎮咳去痰薬に限定)やエフェドリンなど濫用の恐れのある医薬品を複数購入しようとした際の対応として、「一つしか購入できなかった」60.4%で前年度から5.9ポイント上昇。「複数必要な理由を伝えたところ購入できた」12.9%と合わせて73.3%で「販売方法が適切」だった。前年度の69.4%、18年度の52%から改善傾向が見られた。
要指導医薬品、第1類医薬品の販売については、「文書を用いて情報提供があった」が各86.1%(前年度比10.8ポイント増)、72.4%(3.6ポイント増)、第1類医薬品の「情報提供された内容を理解したかどうか確認の有無」75.6%(6.7ポイント増)などで改善を示した。ただ、「相談に対する適切な回答があった」などの項目では、前年度から横ばいの傾向となった。
一方、インターネット販売の調査結果でも、濫用の恐れのある医薬品の複数購入への対応として、「一つしか購入できなかった」66.4%、「複数必要な理由を伝えたところ購入できた」6.4%と、計72.8%が適切な販売方法に該当しており、前年度から27ポイントも上昇。「一つしか購入できなかった」が前年度比27%増となった一方、「複数必要な理由を伝えたところ購入できた」は増減がなかった。また、「質問されずに購入できた」は27.3%で、前年の54.1%から半減した。
第1類、第2類医薬品の販売において、前年度から増加した項目として、「第1類医薬品販売時に情報提供あり」が88.1%で6.6ポイント上昇。「第2類医薬品に関する相談に対する回答があった」は95.9%で6.5ポイント上昇した。
厚労省では前回調査から改善が示されたとする一方、「『濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応』に関しては、依然として他の項目より低い割合となっているため、販売ルールの徹底が必要」との見解を示した。各自治体との連携を通じた各事業者への実態確認や改善指導、関係団体に制度の遵守徹底を依頼し、販売制度のさらなる定着を図りたい考え。