厚生労働省は8月31日付で、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」を改訂し、急増する自宅・宿泊療養患者への新型コロナウイルス治療剤「デキサメタゾン」など経口ステロイド剤を投与する際の留意点を示した。対面診療による処方を原則とする一方、緊急性が高い場合は事前に処方するよう検討すべきとしている。
今回の改訂では、自宅療養や宿泊療養を行っている患者で、酸素投与の適応となる場合の経口ステロイド剤投与における留意点を記載した。
具体的には、デキサメタゾンなど経口ステロイド剤について、原則として、往診医や宿泊施設内の担当医などが対面診療を行った上で処方することを推奨。
ただ、患者が急増して迅速に対面診療を実施することが困難で緊急性が高いと判断した場合は、事前に同剤を処方しておくことも考慮すべきとした。その際には、電話やオンラインで内服開始の基準を伝え、遵守するよう指示することが望ましいとした。患者が内服開始した場合は、必ず当日または翌日中に対面診療でフォローアップするよう求めている。
投与する際は、医療機関と確実に連絡が取れる状態にすること、パルスオキシメーターで酸素飽和度(SpO2)を正確に測定可能な状態であるなどの体制を整えるべきとした。
一方、薬物療法の項目では、新型コロナウイルス感染症治療剤「レムデシビル」について、腎機能障害のある患者への投与に関する記載内容を追記した。
重度の腎機能障害のある患者への投与は推奨されていないものの、治療の有益性が上回ると判断された場合のみ投与可能としているほか、現時点で少なくとも227人の透析患者に投与され、同患者の忍容性は一般的に高いことなどを記した。
バリシチニブに関しては、入院患者1525人を対象とした二重盲検試験について、主要評価項目の「人工呼吸管理」「死亡」に至った割合に差は見られなかったものの、治療開始28日以内の死亡はバリシチニブ群で有意に低かったことを追記した。