2回目接種後、時間経過でデルタ株などに対するワクチンの効果が低下
藤田医科大学は8月25日、ファイザー製の新型コロナワクチン接種に関して、同大職員を対象に行っている血液中抗体価の調査で、ワクチン1回目接種から約3か月後の結果を報告した。
画像はリリースより
現在、日本では新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでいる。先行して接種が進んでいる65歳以上では、感染者数や重症者数が減少するなどワクチンの著明な効果が現れてきている。しかし、2回目の接種から時間が経つと感染力が強いデルタ株などに対するワクチンの効果が低下することが明らかになり、各国で3回目の追加接種(ブースター接種)が検討されている。イスラエルではすでにブースター接種を行っている。
同大では、ファイザー製新型コロナワクチンを接種した教職員を対象に、接種後の抗体価の経時的な変化を調べている。これまでに、ウイルス中和活性と強く相関する受容体結合ドメイン(Receptor Binding Domain:RBD)に対するIgG抗体を測定したところ、2回目接種後にIgG抗体が大幅に上昇することを報告している。
性別・年代を問わず全ての被検者で抗体価が大幅に低下
今回の調査は、同大教職員の中で研究参加に同意し、ワクチン接種前から接種後約3か月後までの血液が得られた209人(男性67人、女性142人)を対象とした。ワクチン接種前、1回目接種後約14日目、2回目接種後約14日目、1回目接種後約3か月目に採血を実施。測定試薬は「アキュラシード COVID-19抗体」(富士フイルム和光純薬株式会社)を用いた。
血液中のIgG抗体を測定したところ、2回目接種後に全ての被検者で抗体価は上昇したが、3か月後の抗体価の平均値は2回目接種後に比べて約4分の1に減少した。また、3か月後においても抗体価には個人差があったことがわかった。
次に、年代別の抗体価の平均値の推移を調べたところ、60~70歳代の抗体価は全ての時期で50歳代以下よりも低い傾向にあったが、全ての年代で抗体価の平均値は接種3か月後に大幅に低下した。また、性別の抗体価の平均値の推移を比較したところ、2回目接種後と3か月後で女性のほうが抗体価は高い傾向にあったが、男性も女性も抗体価は接種3か月後に大幅に低下した。
抗体価低下がワクチンの発症予防効果をどの程度低下させているか今後も研究が必要
今回の研究により、抗体は2回目接種から時間が経過すると低下することが確認された。測定したIgG抗体は、ウイルスの感染や増殖を抑制する中和活性と高い相関があるため、この結果はワクチンの効果が時間とともに低下している可能性を示している。ただし、ワクチンの効果は抗体産生だけでなく、細胞性免疫によるものもある。同大は、「抗体価の低下がどの程度ワクチンの発症予防効果、重症化予防効果などの低下を示しているかは今後も研究が必要だ」としている。
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・藤田医科大学 プレスリリース