武田薬品は26日、米モデルナ製新型コロナウイルスワクチンの一部ロットに異物が混入していたとして、約163万回分の使用を見合わせると発表した。接種会場8施設から、未使用のバイアル内に異物が確認されたと報告を受けたもの。現時点で関連する健康被害は報告されていないが、モデルナと原因究明を進めると共に、厚生労働省と協力して代替品の供給に努める考え。
モデルナの「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン」(販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注)は全国の大規模接種会場等で使用されており、国内の製造販売を担う武田は16日以降、東京都、埼玉県、愛知県などの接種会場8施設から、「未使用のバイアル内に異物が確認された」との報告を受けた。具体的には、ロット番号「3004667」のうち、バイアル39本に異物が混入していた。
そのため、同社はモデルナに異物と混入原因を調査するよう依頼し、25日に厚労省に相談した上で、同ロットと同じ工程で製造された「3004734」「3004956」についても使用を見合わせるよう、これら3ロットを保有する863施設に求めている。対象本数は約16万3000本、約163万接種回数に当たる。
現時点で、対象ロットに関連した健康被害は報告されておらず、混入物質について厚労省は「未だ判明していない」とした。
使用見合わせによる代替品の供給について、同社は厚労省と連携して対応するとしており、接種への影響を最小限にしたい考えだ。
使用見合わせ対象以外のロットについても、使用前にバイアルに変色、異物混入等がないか目視で確認した上で、異常が見られた場合は使用しないよう求めた。また、同製品の接種後に体調変化を感じた場合は、医師に相談するよう勧めている。
田村憲久厚労相は、27日の閣議後会見で今回の事案に言及。同製品の供給が滞ることがないよう河野太郎ワクチン担当相が対応することを説明した上で、「早急に原因を究明する必要がある。健康被害が確認された場合は対応したい」との考えを示した。