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急性期脳梗塞に対する再開通療法のワークフロー、コロナ禍での変遷を調査-国循

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2021年08月20日 AM11:00

新型コロナ蔓延期前と蔓延期で、病院到着から再開通治療まで時間の変化は?

国立循環器病研究センターは8月19日、同センターの急性期脳梗塞患者を対象に、再開通療法(静注血栓溶解療法あるいは血栓回収療法)のワークフローの時間の変遷を、(coronavirus disease 2019:COVID-19)蔓延期前と蔓延期で比較した結果を発表した。この研究は、同センター脳神経内科の吉本武史医師、豊田一則副院長らの研究グループによるもの。研究成果は「Journal of Atherosclerosis and Thrombosis」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより

COVID-19蔓延期である日本において、医療従事者のCOVID-19感染のリスクを最小限にしつつ、脳卒中急性期診療において、静注血栓溶解療法および血栓回収療法を含む再開通治療をいかに迅速に、かつ安全に行うかは喫緊の問題である。日本ではCOVID-19蔓延以降約1年以上が経過し、COVID-19蔓延下における院内の脳卒中急性期診療体制も大きく整備された。しかし、COVID-19蔓延以降の再開通治療の時間の変遷に関しての報告は海外および国内でもいまだ少ないのが現状だ。

研究グループは、同センターにおけるCOVID-19蔓延期前とCOVID-19蔓延期の、再開通療法ワークフローの時間の変遷を比較、さらにCOVID-19蔓延期の1年間を4か月ごとに3期間に分けて比較することで、COVID-19蔓延期において、再開通療法の時間の遅延がどの程度であるかを検証した。

蔓延期はそれ以前と比べ、再開通療法までの時間が延長

2019年3月~2021年2月に同センターに入院した、発症7日以内の急性期脳梗塞患者1,260人のうち、再開通療法(静注血栓溶解療法あるいは血栓回収療法)を施行した265人分のデータが解析可能だった。

脳梗塞発症時期で、COVID-19蔓延期前群(2019年3月~2020年2月)とCOVID-19蔓延期群(2020年3月~2021年2月)の2群に分けて比較したところ、COVID-19蔓延期前群(133人、年齢中央値79歳)よりも、COVID-19蔓延期群(132人、年齢中央値79歳)は病院到着から画像撮影、病院到着から静注血栓溶解療法開始および病院到着から血栓回収療法開始(穿刺)までの時間が延長していたことがわかった。

病院到着から静注血栓溶解療法開始、血栓回収療法開始までの時間は短縮

さらに、COVID-19蔓延期群を4か月ごとに第1期(2020年3~6月)、第2期(2020年7~10月)、第3期(2020年11月~2021年2月)に分け、第1期から第3期にかけて、時間の変遷を比較した結果、病院到着から静注血栓溶解療法開始および病院到着から血栓回収療法開始までの時間は経時的に短縮されていた。また、COVID-19蔓延期前から蔓延期にかけて、撮影時間がより短縮されることで曝露リスクが軽減される頭部CTが頭部MRIよりも施行数が多くなったことも判明した。

COVID-19の蔓延が急性期脳梗塞診療に及ぼした影響に関する全国調査を実施中

COVID-19蔓延期前と蔓延期の再開通療法の時間の変遷を約2年間という長期間で比較した研究は海外でも報告は少なく、国内でもほとんどない。今回の研究でCOVID-19の蔓延は、急性期脳梗塞に対する再開通療法のワークフローの時間の遅延をもたらしたが、その後、院内体制の整備に伴い、徐々に時間は短縮されつつあり、蔓延期前とほぼ同等まで改善していたことがわかった。

「COVID-19の蔓延が日本の急性期脳梗塞診療にどのような影響を及ぼしたのかを検証すべく、現在、COVID-19蔓延期前と蔓延期の急性期脳梗塞診療の全国調査が行われており、それらの結果が待たれる」と、研究グループは述べている。

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