■相談対応を強化
日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は、会員企業における内部通報制度の対応状況に関するアンケート結果を公表した。会員企業の9割強は内部通報窓口を設置していた一方、2020年6月に成立し、2022年6月までに施行予定の改正公益通報者保護法に対応した企業は全体の2割に達していなかった。今後GE薬協では、会員企業で法令やコードに違反する可能性がある案件について協会内で相談対応を強化する方針を示している。
GE薬協では、小林化工や日医工などの製造不正事案を受け、会員企業の内部通報制度の対応状況を把握することを目的に、5月12~24日にかけてアンケート調査を実施した。通報窓口や通報件数、通報者保護、制度の社内教育、GxP対応など九つの項目について40の設問を設定した。
通報窓口をどこに設置しているかを聞いたところ、「社内」が84%、「親会社・グループ会社」が24%、「通報受付サービス(民間業者)」が13%と続き、「通報窓口を設置していない」はわずか8%だった。通報者へのフィードバックについては94%が実施していた。
通報制度の利用可能な対象者を複数回答で選択してもらったところ、「役員」が80%、「正社員」が100%、「非正規社員」が97%、「派遣社員・請負社員」が94%と高い割合を占めたが、「退職者」では37%、「取引先」では26%との結果にとどまった。改正法では「退職後1年以内の従業員」も利用可能な対象者に含まれており、対応が必要になる。
また、通報者の匿名を認めている企業は94%、通報者の保護を社内規程に盛り込んでいるのは91%と高かったが、通報者に不利益な取り扱いをした者に対し、懲戒処分など適切な措置を社内規程に盛り込んでいる企業は74%とやや低かった。
一方、改正法への対応については、「対応済み」が17%にとどまり、「検討している」が54%、「未だ検討していない」が29%と取り組みが遅れていることが判明。通報窓口の担当者選任や指名方法等について社内規程に明確に掲載しているのは51%、通報者に関する情報が共有される範囲を明確に規定しているのは49%と、これら設問には半数の企業が対応できていなかった。
そのほか、GxP違反に対して通報制度が有効に機能するための工夫をしている企業は34%、窓口担当者にGxPを扱う部署の人材を配置している企業は23%にとどまり、GxP違反に関する内部通報制度への対応で課題が浮き彫りになった。
GE薬協では業界団体として問い合わせ対応を強化する。会員企業で発生したような法令遵守に係る問題が隠蔽されることがないよう、会員企業の関係者から法令やコードに違反する可能性がある案件やGMP上の法令違反の可能性のある内容についても、受付可能であることを、ホームページ上に分かりやすく示す方針。
また、会員企業からのGMPに関する技術的な相談の受け皿として、GMP相談窓口を新設した。相談は専用メールアドレスを通じて受け付け、GE薬協品質委員会運営幹事、外部専門家に意見を求めて回答する。
相談窓口は、会員各社の内部通報制度の補完、代替するものではないが、技術的な内容の中には、コンプライアンスに起因する問題も内在する場合もあるため、品質委員会以外の協会関係者による対応を行う場合もあるという。