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重症コロナへの効果も期待される初のARDS治療薬、年内承認申請を目指す‐ヘリオス

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2021年08月17日 PM01:00

細胞医薬品や再生医療製品の開発などを手掛ける製薬会社のヘリオスは8月6日、骨髄由来間葉系幹細胞HLCM051について第2相試験の結果(速報)を報告した。同社は急性呼吸窮迫症候群()に対する世界初の治療薬の開発を進めており、早ければ年内にも承認申請を行う方針。(COIVD-19)重症患者への投与も期待されている。

ARDSは肺炎や敗血症、外傷などさまざまな疾患の重症患者に突然起こる呼吸不全の総称で、疫学データの発症率と人口統計の日本総人口を基にヘリオスが行った推定によると、国内の患者数は年間7,000人~1万2,000人だという。死亡率は全体の30~58%1)と極めて予後不良で、現在治療薬は存在しない。COVID-19重症患者でもARDSを発症することがわかっており、COVID-19初期症例群に関して発表されたデータでは、死亡した患者群の54~93%でARDSを合併していたことが確認されている。2)3)

ヘリオス副社長で医師の澤田昌典氏はHLCM051に期待される効果について、「炎症の軽減、免疫機能の調節」「血管新生の促進」「傷害を受けた細胞および組織の保護・修復の促進」「肺組織や呼吸機能の改善」と説明。HLCM051による治療が認められれば、「1回の点滴投与で治療が可能」だとした。その上で、「薬物治療のないARDS初の再生医療製品となる可能性がある」と強調した。

HLCM051投与群で死亡例の減少率は約39%

同日の会見でヘリオスは、第2相試験「ONE-BRIDGE試験」の結果(速報)を報告。2019年4月~2021年3月に実施したコホート1では、COVID-19陰性の肺炎由来ARDS患者30例をランダムにわけ、HLCM051投与群20例、標準治療群10例で有効性・安全性を評価した。その結果、VFD(投与後28日間のうち人工呼吸器を装着しなかった日数)はHLCM051投与群が20日、標準治療群が11日と、HLCM051投与群では標準治療群に比べて9日(中央値)の改善がみられた。死亡率(投与後90日以内)はHLCM051投与群が26.3%、標準治療群が42.9%で、HLCM051投与群で死亡例の減少率は約39%だった。

2020年4月~8月に実施したコホート2は、COVID-19由来ARDS患者5例にHLCM051を投与し、安全性を評価したもの。VFDは25日、死亡率は0%で、安全性に問題は認められなかった。なお、最終データは全患者の経過観察期間(180日)後に確定する。

ヘリオスの鍵本忠尚社長は、「HLCM051はARDSを対象に厚生労働省から希少疾患用再生医療等製品指定を受けており、早期の承認を目指す」と意欲をみせた。追加試験に実施については、「承認後などに大規模な調査を行い、有効性・安全性の確認を行う可能性はあると思っている」との考えを示した。

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