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シリンジのポンピング時に手から薬液に細菌混入が起こり得ると判明-横浜市大ほか

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2021年08月13日 AM09:40

コンタミネーションの潜在的可能性を、細菌学的に検証

横浜市立大学は8月11日、シリンジを用いたポンピング手技は、シリンジ内の薬液において手指の細菌によるコンタミネーションを生じ得ることを確認したと発表した。この研究は、同大大学院生命医科学研究科の川上裕客員研究員、日本医科大学武蔵小杉病院救命救急科の田上隆准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより

救急医療や周術期医療を中心として、プラスチック製シリンジを用いての薬剤投与や、輸液や輸血を急速投与するためのポンピング手技が頻繁に行われている。その過程において、緊急性の高い切迫した状況でこそポンピング手技が必要とされることもあって、医療従事者が日頃から手指消毒などの感染対策に注意深くあったとしても、そうした状況では手指消毒がややおろそかになる可能性がある。また、こうした切迫状況に陥った患者においては、静脈ラインを介したカテーテル感染が重症化する可能性が高く、カテーテル感染の予防が極めて重要な課題となっている。

一方、プラスチック製のディスポーザブルシリンジは単純な設計をしており、シリンジ内の薬液を押し出すための押し子と、シリンジの内腔の内壁との接触を介して手指の細菌がシリンジ内の薬液に侵入してコンタミネーションを起こす可能性が想像されていた。しかし、これまでこの潜在的可能性を細菌学的に証明する研究は行われていなかった。そこで今回、研究グループは、大腸菌を用いてポンピング手技によってシリンジ内の薬液がコンタミネーションを生じるかどうかを細菌学的に検証した。

グローブに付着の細菌は微量ながらも混入、事前の手指消毒で予防可能

その結果、押し子やシリンジの内壁、ならびに押し子を握るグローブに人工的に付着させた大腸菌が薬液内に微量ながらも侵入すると判明。さらに、あらかじめエタノールで消毒した手指では、このコンタミネーションが生じないことがわかった。以上の結果から、ポンピング手技自体がシリンジ内の薬液のコンタミネーションを生じ得ることが示唆されると同時に、このコンタミネーションは事前の手指消毒によって予防できることが示された。

今回の結果は、ポンピング手技の潜在的なカテーテル感染の危険因子のひとつになり得るとともに、手指消毒が非常に有効であることを改めて医療従事者に啓発するものとなった。現在はCOVID-19によるパンデミックの時代であり、感染に対する意識がより重要視されている時代でもある。「この教訓が多くの医療関係者に伝播され、感染を防ぐためにできる取り組みが徹底されることでカテーテル感染のリスクが減少することが期待され、さらに、カテーテル感染がより生じにくい医療器具の開発や、より簡便かつ効果的な消毒方法の追求につながることが期待される」と、研究グループは述べている。

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