中央社会保険医療協議会総会は4日、再生医療等製品で第一三共の世界初となる癌治療用ウイルス「デリタクト注」(一般名:テセルパツレブ)を12日付で薬価基準に収載することを了承した。補正加算として市場性加算Iの10%、先駆け審査指定制度加算10%がつけられ、薬価は1mL1瓶143万1918円に設定した。市場規模はピーク時の10年目に208人、販売額は12億円と予測している。
同剤は原価計算方式で算定され、製品総原価に営業利益と流通経費を積み上げた。再生医療等製品を保険収載する場合、医薬品か医療機器のどちらで取り扱うかについて、製品の特性に応じて中医協が判断しているが、医薬品の例に倣って薬価収載された。
同剤は世界に先駆けて日本で承認となった一方、臨床試験は1年生存率を評価した医師主導試験のみであり、その結果を踏まえ審査報告書では「一定の有効性が期待できる」との判断にとどまっていることから、先駆け審査指定加算制度加算は10%と限定的な評価とした。
一方、症例数が限られて市場規模が小さいことが原価計算方式の計算で価格に反映されていることを踏まえ、市場性加算Iの10%と限定的な評価とした。
同剤は、増殖型の遺伝子組み換え単純ヘルペスウイルスI型の癌治療用ウイルス。悪性神経膠腫の腫瘍内に直接投与することで、腫瘍細胞内で選択的に複製され、複製の過程で感染細胞を破壊して殺細胞効果を示すこと、腫瘍反応性T細胞の誘導により抗腫瘍免疫効果を示すことで、悪性神経膠腫患者の生命予後を改善することが期待されている。