政府の医薬品産業の方向性と取り組むべき施策を示した同ビジョンの改訂は8年ぶりで、8年間の環境変化を反映したものとなった。
厚労省がこの日の会合で示した骨子案では、▽革新的創薬▽後発品▽医薬品流通▽経済安全保障――の各分野に分けて記載した。
革新的創薬分野では、医薬品開発が高度化する現状を踏まえ、重点支援領域を設定するほか、ワクチンや治療薬など政策的優先度の高い領域で入口から出口まで伴走して支援する。
薬価制度の透明性と予見性の確保も重要とし、イノベーションの評価、原価計算方式の透明性向上、ワクチン等の定期接種化プロセスの効率化、緊急時の国による買い上げ、承認取得後も支援するプル型インセンティブの導入検討も記載した。
後発品メーカーによる供給不安や製造工程上の不正事案等が見られた後発品分野については、安定供給に関するメーカーの責任強化を明記。
具体的には、製造品目数や製造量等に見合った管理体制を承認段階、GMP適合調査で確認すること、開発段階のデータに対する説明責任の強化や規格揃えのあり方など共同開発の見直し、保険収載時の安定供給確認の徹底と供給不安発生時の収載見送りなどを行う。
使用促進策として、バイオ後続品処方時の診療報酬上の評価、フォーミュラリー活用などを盛り込んだ。
医薬品流通分野に関しては、供給不安発生時の流通スキームを検討すること、優先度の高い安定確保薬に関する緊急時の流通在庫等を把握するスキーム検討、厚労省の流通改善ガイドラインの見直しと徹底を通じて適切な価格交渉などを図る。
経済安全保障分野を見ると、国際的な合意に則った緊急時の臨床試験フレームプロトコルの作成、緊急事態における特別使用を認める制度のあり方を検討することや、ワクチン国家検定の迅速化と簡素化も記した。
骨子案について、出席した議員からは「具体的にどう薬価制度の予見性を高めるかを示してほしい」「スピード感をもっと考慮すべき」などの声が上がり、今後も作成状況に関する情報提供を行う予定。