MSDは2日、HPVワクチン「ガーダシル水性懸濁筋注シリンジ」の接種後に失神が報告されていることを受け、適正使用に関する注意喚起を行った。失神に備えて接種後の移動には医療従事者や保護者が腕を持つなど付き添うことや、接種後30分程度は体重を預けられるような場所で立ち上がらずに待機することを呼びかけた。
同社によると、接種後の失神は接種直後あるいは5分以内での発現が7割を占めている。症例で転倒により外傷を負った症例が報告されており、歯の破損や欠損に至った症例もあるという。
接種者当たりの報告頻度は上昇していないが、これら事例では立っていたり、移動のため立ち上がったり、背もたれや肘掛けがない待合室の長椅子や診察室の丸椅子で待機させた場合に発生した事例も出ている模様だ。
同社は、医療従事者に失神による転倒を回避する対策を実施するよう要請している。具体的には、被接種者に接種後30分程度は背もたれのある椅子に体重を預けて座るなどして立ち上がらずに待機するよう指導を求めた。
指導箋「HPVワクチン接種後の失神と痛みに対する注意について」を活用し、接種時には被接種者の氏名や接種時刻、30分間安静の目安時刻を記入し、指導箋を被接種者に渡すこと、接種後に診察室から移動する際には、転倒しないよう医療従事者や保護者等が腕を持つなど付き添うこととした。