8月から製薬企業や医薬品卸と同様に薬局開設者にも薬事に関する法令を遵守するための体制を整備することが求められる。手引きは、厚労省の法令遵守ガイドラインとQ&Aを踏まえ、薬局向けに同ガイドラインの理解に資することを目的として、薬局開設者が行うべき事項のポイントや薬局の法令遵守に関する日薬の考え方について留意点をまとめたもの。
薬局開設者を補佐する役割を担うエリアマネージャーについては、「あくまで薬局開設者と管理薬剤師との橋渡し役でしかなく、薬機法上の責任は薬局開設者と管理薬剤師にある」と位置づけた。
その上で、「薬機法上権限がない薬局開設者を補佐する者が、自らの判断で管理薬剤師に指示することは、管理薬剤師が薬機法上の権限を適切に行えなくなる懸念がある」とし、管理薬剤師の権限をエリアマネージャーに周知し、社内規程に盛り込むなど法令遵守規定が適切に履行されるよう求めた。
管理薬剤師とは別の者に「店長」「薬局長」「支店長」といった名称・肩書を付した者を配置している状況は、薬局の管理者が管理薬剤師とする業務管理の指揮命令系統から見たときに、「他の従業者や患者・薬局の利用者に誤解を与える可能性が高い」と指摘。管理薬剤師の法的責任を明確化するために、店長や薬局長などの名称・役職はつけるべきではないとの見解を示した。
管理薬剤師に必要な能力・経験は、厚労省法令遵守ガイドラインで薬剤師認定制度認証機構に基づく認定薬剤師とされており、薬局における実務経験が少なくとも5年はあることが重要とされている。日薬は、今回の改正薬機法で管理薬剤師には必要な能力・経験を有する薬剤師を充てなければならないとされたこと、管理薬剤師から薬局開設者に対する意見は重く、管理薬剤師の権限・業務がさらに明確化されたことを考えると、厚労省のガイドラインで示された管理薬剤師の要件は「当然」とした。
その上で、管理薬剤師として必要な能力・経験を有する薬剤師を確保できないのであれば、薬局を新規に開設するべきではないとの認識を示した。