この日の総会で厚生労働省は、2022年度の診療報酬改定に向け、▽薬局・薬剤師が対物中心の業務から対人中心の業務にシフトする中での診療報酬のあり方▽かかりつけ薬剤師・薬局の普及の促進、多剤・重複投薬への取り組み、処方箋の反復利用など「経済財政運営と改革の基本方針2021」等を踏まえた今後の対応▽オンライン服薬指導の診療報酬上における具体的な検討の方向性――の三つの論点を示した。
診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「対物中心の業務から対人中心の業務へと構造的転換を進めていくべきだと考えるが、安全かつ確実な調剤を行うためには対物業務が自らの責任のもとでできているのが前提となる」と述べた。
その上で、「対物業務と対人業務の両方が成り立って安全・安心な医薬品提供ができる。診療報酬上の評価は現場への影響やそのバランスを見ながら検討することが必要」と訴えた。
城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「医療安全という観点で対物業務がしっかりなされていることが大前提であり、その上で対人業務への移行となることを改めて言いたい」と述べ、薬剤師が実施する調剤業務を評価するよう訴えた。
これに対し、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、かかりつけ薬剤師指導料の算定が1.5%にとどまるなど、薬学管理料を算定した薬局が少ないことに言及。「対人業務のインセンティブをいくら作っても薬局がついてこれていない」と語った。
対物業務に対する評価のあり方が対人業務への転換を阻害していると主張し、「調剤基本料や調剤料、薬剤服用歴管理指導料、薬価差益で経営しており、調剤基本料1を算定する薬局が8割を占めている。未だに対物業務で経営が成り立つ報酬制度になっている」との見方を示した。
調剤基本料については、「処方箋受付枚数や集中率で区分するのではなく、薬局の機能で区分すべき。対人業務を中心とする薬局と、調剤に偏重して効率性のみを追求する門前薬局については、明らかに基本料で差をつけるべきではないか」と要求した。
厚労省が示した三つの論点のほか、診療側からは大学病院などで誘致が加速している敷地内薬局への対応を求める声も相次いだ。有澤氏は、「独立性が担保されない、もしくは機能として院内薬局と変わらない薬局であれば保険指定する必要はない。診療報酬上での対応や制度の見直しなどでこれらの流れを止めるルールの見直しが必要。今後の議論の論点として明示してもらいたい」と要望。
松本吉郎委員(日本医師会常任理事)も、「敷地内薬局について大病院で利益供与を認めるような募集が行われているのは大変遺憾」と同調した。