約6割の自治体病院は常勤薬剤師を十分に確保できていないことが、全国自治体病院協議会薬剤部会が実施した調査で明らかになった。2019年度の採用状況について319施設の回答を解析したところ、募集しても1人も確保できなかった病院は36.1%、募集人数の一部しか確保できなかった病院は25.7%に達していた。10日に開かれた日本病院薬剤師会のフューチャーファーマシストフォーラムで結果を報告した同部会長の室井延之氏(神戸市立医療センター中央市民病院薬剤部長)は「薬剤師の地域偏在も認められた。薬剤業務の進展を阻む薬剤師不足の解決が喫緊の課題」と呼びかけた。
回答を病院立地別に解析すると、医療資源の少ない地域や過疎地域、不採算地区に立地する病院(109施設)では、募集しても1人も確保できなかった病院は54.1%、募集人数の一部しか確保できなかった病院は14.7%と合計で約7割になり、平均値より高かった。募集人数を全て確保できた病院は31.2%だけで、地域偏在が認められた。