複数の治療歴を有する切除不能な局所再発の日本人頭頸部扁平上皮がん対象P1試験
楽天メディカルジャパン株式会社は7月12日、アキャルックス(R)点滴静注250㎎(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え)、治験薬名:RM-1929)を用いた光免疫療法について、複数の治療歴を有する切除不能な局所再発の日本人頭頸部扁平上皮がん患者対象第1相、単一施設、非盲検試験データが「International Journal of Clinical Oncology」に掲載されたと発表した。
同試験では、患者に、同剤(640mg/m2)を点滴静注し、投与終了約24時間後にレーザ光照射(照射エネルギー密度:50J/cm2(表在性病変)、100J/cm(深在性病変))する治療が実施された。同試験は、切除不能な局所再発の頭頸部扁平上皮がん患者を対象としており、その評価項目は、安全性、抗腫瘍効果(modified RECIST ver.1.1に基づき評価)、薬物動態、および免疫原性反応だった。
試験の結果、同剤を用いた光免疫療法は、切除不能な局所再発の頭頸部扁平上皮がんに対して管理可能な安全性プロファイルを示したこと、複数の治療歴を有する本試験の患者における抗腫瘍効果は臨床的に意義のある結果であったこと、並びに、今後さらなる試験が可能であることが結論付けられたとしている。
アキャルックス、2020年9月に日本で承認取得
同剤は、同試験および海外第1/2a相試験のデータをもとに日本で承認申請。2020年9月に、厚生労働省より製造販売承認を取得している。
アキャルックス点滴静注250㎎は、キメラ型抗ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)モノクローナル抗体(IgG1)のセツキシマブと光感受物質である色素IRDye(R) 700DXを結合させた抗体薬物複合体からなる点滴静注用の注射剤。イルミノックス(R) プラットフォームを基に開発された最初の医薬品だ。なお、RM-1929とASP-1929は、同一の有効成分からなる薬剤。広範な物理化学的研究において、これらが同等の物理的および化学的特性を持っていることが示されている。
イルミノックス プラットフォームは、治療技術基盤の名称であり、米国国立がん研究所の小林久隆氏らが開発したがん光免疫療法が基となっている。同プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤であり、楽天メディカル社は、これに基づき製品や治療法の開発を進めている。同プラットフォームを用いた治療は、「薬剤の投与」と「光の照射」の2段階で構成される。薬剤は、光感受性物質と、キャリアから組成される複合体。同薬剤を投与し、特定の細胞に選択的に集積した後、その細胞に特定の光を照射することで光感受性物質が活性化し、生化学・物理学的プロセスにより、特定の細胞を壊死、あるいは、排除する。
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・楽天メディカルジャパン株式会社 プレスリリース