同ガイドラインをめぐっては、流通改善の進捗状況などを踏まえて見直すこととしており、この日の懇談会で厚労省は、見直し事項が記載された改訂案を提示した。
卸売業者と保険薬局等の川下取引については、医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉と不当廉売の禁止、頻繁な価格交渉の改善等を記載した。メーカーと卸売業者の川上取引では、仕切価交渉のあり方等に関する事項を示した。
川下取引に関する事項では、継続的に総販売原価を著しく下回る対価で販売することで他の卸売業者の事業を困難にする恐れがある場合は不当廉売と見なされる可能性があることなどを追記。
薬価の中間年改定実施を受け、長期契約により交渉や価格再設定にかかる負担を軽減すべきとし、年度内は妥結価格の変更を前提とした再交渉を原則的に行わないことを明記する。
川上取引に関する事項を見ると、割戻しは卸機能の適切な評価に基づくものとし、仕切価に反映可能なものについては反映した上で、割戻しを整理・縮小することを記載。また、仕切価と割戻しに関して、当事者間で協議した上で設定することを追記する。
森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、川下取引のうち、取引条件を考慮せずにベンチマークを用いた値引き交渉に言及。「流通改善に向けた動きとは相反するものだ。そのしわ寄せは代理人購入・交渉に参加していない中小の薬局に行くので、考える必要がある」とした。
ベンチマークを用いた値引き交渉については、岩下圭二委員(日本製薬工業協会流通適正化委員会副委員長)も、厚労省が示した質疑応答集を引き合いに、「不適切な交渉を具体的に記載している。この機会に盛り込んではどうか」と述べた。
川上取引のうち割戻しの整理・縮小について、熊谷裕輔委員(製薬協流通適正化委員会副委員長)は「割戻しの整理が各社で進められているが、縮小ありきだと卸機能の縮小につながる」とし、縮小との記載は不適切と指摘した。
また、長瀬輝諠委員(日本精神科病院協会副会長)は、「メーカーや卸の問題を網羅して良くできているが、どこまで進められるかが課題」との考えを示した。