hinotoriによる病院間を専用高速回線でつないでの実用的な遠隔手術の実証実験は、国内初
藤田医科大学は7月5日、国産手術支援ロボット「hinotori(TM)サージカルロボットシステム」を用いた遠隔模擬手術(臓器モデルによるデモンストレーション)を5月14日に実施したと発表した。この研究は、同大と同大岡崎医療センターの研究グループによるもの。
画像はリリースより
同大は、遠隔手術の実用化に向け2021年1月、藤田医科大学病院と岡崎医療センター間に10GBの光専用回線を敷設。3月には両施設にhinotoriを設置し、実証実験を開始するための準備を進めてきた。今回、これらの環境が整ったことから、遠隔ロボット支援手術の実証実験を公開で実施。hinotoriによる病院間を専用高速回線でつないでの実用的な遠隔手術の実証実験は、国内初だ。
胃統合モデルを用いたロボット支援下胃切除の手技を実施、タイムラグや操作の正確性など確認
岡崎医療センターの手術室に置かれたhinotoriのサージョンコックピット(執刀医が操作をする装置)を操作し、約30キロメートル離れた藤田医科大学研究施設のhinotoriのオペレーションユニット(実際に手術を行う装置)で臓器モデルへの模擬手術を実施。ロボット手術の第一人者として知られる同大の宇山一朗教授が、岡崎医療センターでhinotoriを操作した。模擬手術では、胃統合モデル(FasoLab手術トレーニング)を用いたロボット支援下胃切除の手技を行い、タイムラグや操作の正確性などを確認した。
遠隔手術の実証実験については、商用5G通信を用いて神戸大学で行われ、一般回線を用いて弘前大学で行われている。しかし、5Gの回線には通信速度のゆらぎがあるため、同大では専用の高速回線を岡崎と豊明の病院間に新たに設置。より実用性を意識した安定した通信環境を構築することで、将来の遠隔手術の実現に向けた取り組みを開始する、としている。
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・藤田医科大学 プレスリリース