■1件当たり点数は増加
厚生労働省は6月30日、医療給付の受給者に関する調剤行為の内容などをまとめた2020年「社会医療診療行為別統計」の結果を公表した。薬局調剤では新型コロナウイルス感染症の流行により、集計対象のレセプト件数が17%減少。調剤レセプト1件当たり点数、処方箋1枚の受付1回当たりの点数が共に大幅に増加したが、点数総数(医療費)は8.9%減となった。後発品の種類数の割合は総数で75.6%と前年より2.5ポイント増加した。
調査は、昨年6月審査分として審査決定された医療保険制度の診療報酬明細書と調剤報酬明細書のうち、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に蓄積されている全数集計を対象としたもの。新型コロナウイルスの感染拡大で、集計対象となる保険薬局のレセプト件数は4491万9108件と前年から大幅に減少した。
薬局における調剤行為の1件当たりの点数総数は1179.7点で、前年に比べて104.8点、9.7%増加した。
受付1回当たりの点数も996.9点で、107.1点、12.0%増加し、例年よりも増加率が大きくなっている。
ただ、集計対象となるレセプト件数が大幅に減少したため、1件当たりの点数と受付1回当たりの点数が増えたものの、点数総数で見ると8.9%減少した。
医療費全体に占める薬剤費比率は38.5%と前年よりも伸びた。調剤行為別に見ると、受付1回当たり点数では薬剤料が750.2点と、94.0点、14.3%増加し、構成割合では75.3%を占めた。
次いで「調剤技術料」は196.0点で、11.8点、6.4%増加し、構成割合は19.7%。1件当たりの薬剤料は887.8点で95.1点、12.0%となった。1件当たりの調剤技術料は231.9点で9.4点、4.2%増加した一方、薬学管理料は57.5点と0.2点、0.3%の微減となった。
医科の入院外における院外処方率は前年に比べて0.7ポイント増加。77.3%となり、医薬分業が進展していることがうかがわれる結果となった。
内訳は、病院が1.3ポイント増の80.8%と8割を突破し、診療所は0.6ポイント増の76.3%となった。
一方、後発品の使用状況では、薬剤種類数に占める後発品の種類数割合は総数で75.6%と前年比で2.5ポイント増加した。内訳を見ると、入院が3.2ポイント増の72.5%、院内処方は2.4ポイント増の65.5%、院外処方が2.4ポイント増の78.2%となっている。
後発品の薬効分類別の点数について構成割合を見ると、入院では抗生物質製剤が22.7%と最も多く、院内処方では循環器官用薬が26.6%、院外処方でも循環器官用薬が28.3%と高い比率だった。
医科点数と薬局調剤を合算して求めた薬剤料の割合について、入院は9.1%と前年に比べ0.6ポイント減少、入院外は43.5%で3.0ポイント増加している。