■試験合格で修了証交付
日本薬剤師会は、薬剤師が新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種を行えるよう研修プログラムの初回版を作成し、近く会員向けに通知を発出する。薬剤師がワクチン接種で身につけておくべき技能や知識を学べる座学研修や、歯科医師が違法性の阻却によってワクチン接種を行う際に使用した研修プログラムなども活用する。研修終了後には試験を実施した上で認定し、修了証を交付する。具体的な研修開始時期は今後詰める。
日薬が26日に開催した通常総会のブロック代表質問で安部好弘副会長が、北陸信越ブロックの柏原宏暢氏(石川県)に対する答弁で明らかにした。
研修プログラムの初回版が理事会で了承され、既に厚生労働省にも説明済みとしている。安部氏は、「今後、薬剤師がワクチンの打ち手となると言われた時に即時に対応できるよう研修プログラムを作成している段階。早々にワクチンの打ち手となる時に必要なプログラムのあり方を公表できる」と語った。
薬剤師法の改正か違法性の阻却のいずれかで対応するかとの質問に対しては、「新型コロナウイルス感染症の国難には、歯科医師と同じように違法性の阻却の中で実施する。薬剤師法を改正して薬剤師が注射をするというのとは別の話」と回答した。
研修プログラムの初回版では、薬剤師がワクチン接種に必要な技能や知識を学べる座学研修に加え、歯科医師が違法性の阻却によってワクチン接種を行う際に使用した研修プログラム、日本医師会が作成したアナフィラキシーへの対応についての動画資材も活用する。
同様に、薬剤師のワクチン接種について研修を検討している日本病院薬剤師会とも共同の研修プログラムの開発について協議していく考えだ。初回版から必要に応じて改訂も行う。
薬剤師がワクチン接種を行うために違法性を阻却する条件としては、必要な研修の受講に加え、試験の実施と研修修了証の交付が必要になる。
基本的には日薬が作成した研修プログラムを受講し、試験の合格基準を満たした薬剤師に対し、研修修了証を交付する考え。日薬が作成した研修プログラム以外のものを受講しても、正規プログラムとして認めないという。
薬剤師によるワクチン接種をめぐっては、厚労省の検討会で当面は接種を見送るとされ、薬剤師はワクチンの調製、シリンジへの充填作業や予診のサポート、ワクチン接種後の経過観察が期待される役割と位置づけられた。
ただ、打ち手としての役割は「今後の接種の進捗状況を見つつ、必要に応じて検討する」としており、日薬でも海外での状況を参考に「早急に研修の準備を進めていく」との方針を表明していた。