この日の委員会では、厚労省から今月13日時点のワクチン接種後の医療機関からの副反応疑い報告状況について説明があった。米ファイザー製品は2324万5041回、米モデルナ製品は44万0278回接種され、このうち副反応疑い報告件数はそれぞれ1万3671件と79件だった。また、アナフィラキシーはそれぞれ1462件、4件となった。
死亡事例を見ると、ファイザー製が277件、モデルナ製が0件で、100万回接種当たり11.9件としているが、専門家はいずれも接種との因果関係は評価不能もしくは認められないと判断。これらを踏まえ、23日の厚労省合同会議で接種継続を決めている。
ただ、ワクチン接種後の死亡事例について、佐藤嗣道委員(東京理科大学薬学部講師)は、100万人当たりの件数から「重大な懸念に当たるので、何らかの提言や意見をまとめて厚労大臣に提出すべき」と要求。アナフィラキシーについても「他のワクチンに比べて相当高い頻度で報告されている。このまま放置すべきでない」と指摘した。
佐藤氏は、ワクチンと有害事象の因果関係についても、世界保健機関(WHO)の報告基準を引用し、「他の要因の可能性が高いと判断されない限りは、可能性ありとしている。ほとんどの事例で評価不能としていることに相当な疑問を持っている」と訴えた。
伊豆津健一委員(国立医薬品食品衛生研究所薬品部長)は、「大規模接種のように接種場所と報告医療機関が異なる場合もあり、情報がきちんと収集されているかが課題だ。現在の副反応疑い報告の形式は、必ずしも今の状況に対応したものになっていないと思うので、改善すべき」と注文をつけた。
森豊隆志委員(東京大学病院臨床研究推進センター長)は、接種を検討する一般人の視点から「死亡事例に対する評価をどこで確認できるかが分かりにくい。可能な限り高い透明性を持って評価し、懸念があるかどうかを積み重ねるべき」と述べた。