ファイザーとモデルナのコロナワクチンは男性の生殖能力に影響なし
米ファイザー社製および米モデルナ社製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンは、男性の生殖能力に影響を及ぼさないとする研究結果が報告された。専門家らは、この結果によりワクチンを接種する男性の増加が期待できるとしている。米マイアミ大学ミラー医学部泌尿器学分野のRanjith Ramasamy氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA」に6月17日掲載された。
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Ramasamy氏によると、この2種類のmRNAワクチンに関する最初の臨床試験では、生殖能力への影響については評価されていなかったという。同氏は、「ワクチン接種に対するためらいは、COVID-19パンデミックを終息に向かわせる上で妨げとなる。われわれは、接種をためらう理由の一つに、ワクチンが生殖能力に悪影響を及ぼす可能性が指摘されているからだと考えた」と今回の研究背景について説明している。
そこでRamasamy氏らは、生殖能力に問題のない18~35歳の健康な男性45人(年齢中央値28歳)を対象に、ワクチン接種前と接種後の精液検体について、各パラメータ(精液量、精子濃度、精子の運動率、総精子数)の比較を行った。精液検体は、対象者がファイザー社製(46.7%)、またはモデルナ社製(53.3%)のワクチンの初回接種前に、2〜7日の禁欲期間を設けた後に採取したものと、2回目のワクチン接種から中央値で75日後に採取したものであった。研究論文の筆頭著者である同大学のDaniel Gonzalez氏は、「70日という期間は精子のライフサイクル全体をカバーしており、ワクチンが精液検査のパラメータに影響を及ぼすか否かを確認するには十分である」と説明する。
解析の結果、いずれかのワクチンの2回接種後でも、精液検査のパラメータに有意な低下は認められなかった。むしろ、精子濃度と総精子数の中央値はそれぞれ、ワクチン接種前で2600万/mLと3600万個、ワクチンの2回接種後で3000万/mLと4400万個と有意に増加していた。また、精液量と運動率についても、有意な増加が認められた(精液量:2.2mL→2.7mL、運動率:58%→65%)。
Ramasamy氏は、「われわれは過去の研究で、新型コロナウイルスが男性の生殖能力に影響を及ぼし、勃起機能不全の原因となる可能性を最初に指摘した。今回の研究では、男性の生殖能力に対するCOVID-19のワクチンの影響を初めて検討したが、影響は確認されなかった」と述べている。その上で、「この結果は、ワクチン接種をためらう人の削減に大いに役立つだろう」との見方を示している。
なお、今回の研究では、米ジョンソン・エンド・ジョンソン社製の1回接種型ワクチンについての評価は行われていない。
▼外部リンク
・Sperm Parameters Before and After COVID-19 mRNA Vaccination
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