内閣府と厚生労働省、国土交通省は22日、ドローンによる医薬品配送に関するガイドラインを取りまとめ、各都道府県の関係団体に周知した。病院や薬局、医薬品卸売業者がドローンを活用してへき地の患者に医薬品を配送する実証事業を行う場合の手順や留意事項などを示し、薬局開設者にも事業計画の策定や医薬品配送中の品質確保を求めている。
ドローンを用いた医薬品配送が全国のへき地で実施されている。内閣府と国交省は3月に「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン」を公表したが、医薬品配送についてもガイドラインをまとめた。
へき地の患者に薬を提供する手段については、▽薬の品質確保▽患者本人への速やかで確実な授与▽患者のプライバシー確保――の観点から、ドローンによる配送を行うか薬局従事者が届ける、患者・家族に来局を求めるなどの配送手段を比較し、最も適切な手段を選択するよう求めた。
その上で、ドローンを用いる場合には事業計画を策定することを求めた。事業計画は、実証事業対象地域の自治体の医務・薬務主管課に報告すると共に、地域の医療関係者や医師会、薬剤師会などの関係団体に報告し、緊密に連携することとした。
配送の流れとしては、調剤した薬局で必要な梱包を行う、梱包された薬をドローンの容器などに入れる、ドローンにより対象地点へ配送する、ドローンが対象地点へ到着後、患者本人に届けるなどの手続きが想定されている。
薬局開設者が事業計画の内容を踏まえ、薬局で調剤してから患者の手元に届くまでの全過程における手順を定め、品質を確保する必要があると明記。薬の発送後から患者に渡されるまでの間、薬の発送状況を把握することも記載した。
ドローンからの薬受け取りや患者本人への授受は、へき地診療所の看護師など医療従事者が行うことを原則とした。医療従事者以外の従事者が患者本人に薬を渡す場合は、薬局開設者が確実に患者に薬が授与されたことを電話や配達記録などで確認する。
麻薬・向精神薬や覚醒剤原料、放射性医薬品、毒薬・劇薬など、流通上厳格な管理が必要な医薬品については、実証実験の段階でドローンによる配送は避けることとした。