■行政処分の基準明確化
製薬企業の法令遵守体制をめぐる問題では、小林化工や日医工などの医薬品製造業者や製造業者による薬機法違反事例が複数発生している。
厚労省は、法令遵守体制の強化や再発防止を図るため、これまで業務停止命令等の行政処分を行う際に用いていた処分基準を見直し、行政処分に関する基準を新たに制定することになった。
医薬品メーカーの監視は、国が本来処理することとされる事務を都道府県に委託する法定受託事務だが、都道府県によって判断基準や処分基準にばらつきがあるため、取扱規則で統一化し、適正な権限の行使を図る。
業務停止日数の上限については、これまで国が定めた基準は110日。福井県から過去最長の業務停止処分を受けた小林化工で116日だったが、業務停止日数の上限を180日に引き上げて厳格化する。
許可や登録の取り消し、業務停止命令を検討する上での判断基準を分かりやすい形で整理した。許可・登録の取り消しを行う場合には、違反行為の重大性に加え、▽過去に業務停止命令等の行政処分を受けたことがあるか▽違反行為により保健衛生上の著しい危害が発生しているかまたは発生する蓋然性が高いと考えられるか▽業務停止その他の行政処分で改善が見込めないと考えられるか――の3項目を判断基準に設けた。
業務停止命令に関する判断基準では、組織的違反行為や信頼失墜行為等に対する処分規定を新設し、厳格化を図った。旧基準にはなかった、▽役員や責任者が違反行為をどの程度認識していたか▽薬事制度に対する国民の信頼を失墜させたか――の項目を盛り込み、全10項目で検討することとした。
違反品の安全性に関する情報提供や回収等の措置が適切である場合、過去の違反歴が認められない場合、自己点検で違反内容が判明し、国や都道府県に自主的に報告した場合については、軽減措置を講ずることもあるとした。