■中医協総会で了承
中央社会保険医療協議会は23日の総会で、再生医療等製品で第一三共の癌治療用ウイルス「デリタクト注」(一般名:テセルパツレブ)の医療保険上の取り扱いについて、医薬品の例に倣って薬価基準に収載する方針を了承した。一方、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)のヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート「オキュラル」は医療機器の例で対応し、材料価格基準に収載する。
再生医療等製品を保険収載する場合、医薬品か医療機器のどちらで取り扱うかについて、製品の特性に応じて中医協が判断している。
今回、第一三共から再生医療等製品のデリタクト注の保険収載を希望する申し出があったことから、医療保険上の取り扱いについて審議した。
厚生労働省は、同剤の審査報告書で「腫瘍反応性T細胞の誘導により抗腫瘍免疫効果を示す」と記載されていることなどから、薬理的作用を持つと判断。腫瘍内に注射して投与する点も医薬品に類似した投与法とし、医薬品の例で対応する考えを提案した。
J-TECが保険収載の希望を申し出た「オキュラル」については、厚労省は口腔粘膜上皮細胞をシート上に培養して眼の表面に移植する使用方法が、医療機器に類似していると判断し、医療機器の例で対応するよう提案した。
委員から反対意見はなく了承されたが、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、両製品で開発の初期段階にアカデミアが関与している点に言及。特にデリタクトについて、「アカデミアに補助金や公的資金が投入されていると思うが、原価計算方式でどう計算したかを可視化してほしい」と注文をつけた。
これに対して、保険局医療課の紀平哲也薬剤管理官は「これまでも厚労省からの補助金が含まれている場合は、その分を差し引いている。デリタクトについても算定内容を精査したい」と応じた。