■受託企業への転換促す
厚生労働省医政局の林俊宏経済課長は19日、ウェブ上で開かれた日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会学術大会で講演し、後発品の信頼性確保や安定供給に向けて、共同開発や製造委受託のあり方を見直す考えを明らかにした。製造委託先の業者をしっかり管理することなど、製造販売業者に厳格な要件や責任を求める。8月に公表予定の「医薬品産業ビジョン2021」に概念を盛り込む方針だ。
林氏は、後発品の信頼性確保などをめぐって、「共同開発を安易に利用することで責任の所在が見えづらくなっている。製造販売業者、製造業者の関係が複雑化して結果的に欠品が多く生じ、信頼性の低下につながっている」と指摘した。
こうした背景から、「他の製造業者を使いこなせるところが製造販売業者として生き残るべき。GQPを遵守でき、サプライチェーンを明確に把握し、安定供給と情報開示できる企業のみが製造販売業者として存続すべき」と強調。「製造販売業者としての体制が確立できない企業は、製造受託企業として残っていく道がある」と述べ、業界再編を促した。
また、製造販売業者は今後、幅広く品目を揃える企業と得意分野に特化する企業に2極化するとの見方を示し、「行政としては後発品への切り替えが遅れている小児や精神領域、注射薬などに取り組む企業を、技術開発も含めて応援できればいい」と語った。
さらに今後、後発品の承認審査時には、新たに二つの項目を確認することを通知で示す予定だ。申請先の企業が製造品目数や製造量に見合った管理体制を確保できているかを確認するほか、共同開発品であっても自社品と同様にデータを把握し、内容について説明できる責任を負わせる考え。
一方、先発品が有している全ての規格を取り揃えるため、共同開発に頼らざるを得ないという声を受け、そのあり方の検討も進める。
医療従事者からは、企業間の共同開発の実態など、後発品を選定する上で必要な情報が不足しているとの声がある。
林氏は「原薬製造国、共同開発、製造所等に関する情報を医療従事者に届けるために、インタビューフォームへの記載や、求められれば情報提供に応じることを義務化できないかと考えている」との構想を示した。