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スチムリマブ、寒冷凝集素症対象P3試験でヘモグロビン濃度と疲労を改善-仏サノフィ

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2021年06月21日 AM11:30

過去6か月間に輸血を受けていないCAD対象P3試験、EHA 2021で口頭発表

仏サノフィは6月11日、sutimilimabについて、過去6か月間に輸血を受けていない寒冷凝集素症(CAD)の患者対象のピボタル第3相二重盲検プラセボ対照試験CADENZA試験のパートAの結果を第26回欧州血液学会議(EHA 2021)の口頭発表で報告したと発表した。

同試験の結果より、sutimlimabの投与開始後1週間以内にCAD患者におけるC1活性化による溶血が抑制され効果が持続すること、プラセボ群との比較でヘモグロビン濃度と疲労に関して臨床的に有意な改善が試験期間を通じて持続することが明らかになった。

sutimlimabは、自然免疫系の一部である古典的補体経路におけるC1sを選択的に標的とするよう設計されたヒト化モノクローナル抗体。sutimlimabはC1sを阻害することで、古典的補体経路の活性化を妨げ、CAD患者のC1活性化による溶血を阻止し、正常な赤血球の破壊を防止することを目的としている。sutimlimabは、補体の古典経路における上流プロセスであるC1sを選択的に阻害する一方で、補体のレクチン経路や第二経路を阻止しない。

同剤は、米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Therapy(画期的治療薬)の指定を受けており、FDA、欧州医薬品庁(EMA)と日本の厚生労働省よりオーファンドラッグの指定を受けている。2021年下半期に米国FDAに対して生物学的製剤承認申請を再提出する予定だという。

主要評価項目として検討の複合評価項目を達成

CADENZA試験では、対象患者を1:1の割合で無作為化し、体重のカテゴリ別に設定した用量(6.5gまたは7.5g)でsutimlimabを投与する群とプラセボ群に割りつけ、各群に対して第0日、第7日、その後は隔週での静脈内投与を第26週まで継続した。試験のパートBである非盲検試験は現在実施中で、試験に参加した全てのCAD患者を対象にsutimlimabの長期安全性と効果の持続性を検討している。

同試験には患者42人(平均年齢66.7歳)が参加し、sutimlimab(n=22)またはプラセボ(n=20)の投与を受けた。sutimlimab群では19人(86%)、プラセボ群では20人(100%)がパートAを完了し、パートBに入った。sutimlimab群の3人(14%)は、有害事象のためにパートAを中止した。

sutimlimab群の患者の73%(n=16)が主要評価項目として検討した複合エンドポイント基準評価時点(第23、25および26週の平均値)のヘモグロビン濃度がベースラインとの比較で1.5g/dL以上の上昇(第5~26週に輸血が不要かつ第5~26週に治験実施計画書で規定した治療以外のCAD関連治療が不要)を達成したのに対し、プラセボ群で複合エンドポイント基準を満たした患者の割合は15%(n=3)だった(オッズ比=15.9、95%CI:2.9~88.0、p<0.001)。

同試験結果より、sutimlimabはベースラインから治療評価時点(第26週)までの期間中に平均ヘモグロビン濃度の持続的な上昇をもたらし、プラセボ群との最小二乗平均値の差は2.6g/dLと統計学的有意差を示した(p<0.001;95%CI:1.8~3.4)。ヘモグロビンの改善は速やかに認められ、ベースラインからの上昇度の最小二乗平均値は、第1週時点で1g/dL以上、第3週時点で2g/dL以上だった。群全体での平均ヘモグロビン濃度は第3週から治療評価時点まで11g/dLを越える値で維持され、治療期間の終了時点まで効果が持続することが示された。

FACIT疲労スコアの平均値は、sutimlimab群は10.8ポイント、プラセボ群は1.9ポイントと統計学的に有意な改善を示し、群間差の最小二乗平均値は8.9ポイントだった(p<0.00;95%CI:4.0~13.9)。FACIT疲労スコアの5ポイント以上の改善は、臨床上重要な変化であることを示唆している。

溶血の重要なマーカーであるビリルビン濃度のベースラインから治療評価時点までの平均変化量は、sutimlimab群-22.1μmol/L、プラセボ群-1.8μmol/Lとsutimlimab群で大幅な低下を認めた。

sutimlimab群では平均ビリルビン濃度の正常化(正常値上限の20.5µmol/L未満まで低下)が1~3週以内にみられ、第26週時点まで正常値上限未満で持続した。別の溶血マーカーであるLDHについても、ベースラインから治療評価時点までの変化量は、sutimlimab群-150.8U/L、プラセボ群は+7.6U/Lとsutimlimab群で意義ある改善が認められた。

治療下で発現した有害事象(TEAE)が1件以上認められた患者は、sutimlimab群では21人(95.5%)、プラセボ群は20人(100%)だった。sutimlimab群の3人(13.6%)に治療下で発現した重篤な有害事象(TESAE)が1件4分の3以上現れ(合計4件)、このうち1件(糖尿病の既往のある患者における大脳静脈血栓症)は治療責任医師がsutimlimabとの因果関係があると判定。プラセボ群の1人(5%)に3件のTESAEが認められた。

sutimlimab群の方がプラセボ群より高頻度でみられた有害事象(発生例数の差が3人以上の有害事象)は、頭痛(23%vs.10%)、高血圧(23%vs.0%)、鼻炎(18%vs.0%)、レイノー現象(18%vs.0%)、先端チアノーゼ(14%vs.0%)。死亡や髄膜炎菌感染の報告はなかったとしている。

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