■取りまとめ案を概ね了承
厚生労働省は16日、「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」の取りまとめ案を示し、概ね了承された。薬学部6年制を卒業した学生が薬剤師免許を取得することは必要不可欠とし、大学に教育の質の確保を求めた。また、適正な定員規模になるよう大学薬学部の入学定員数の抑制を検討すべきと明記したほか、薬剤師の資質向上に向けては、卒前・卒後で一貫した臨床研修を検討する必要があると問題提起した。
取りまとめでは「薬剤師の養成」「薬剤師の業務・資質向上」の2項目について、関係者が取り組むべき施策を提言として示した。
薬剤師の養成では、標準修業年限で卒業できない、国家試験に合格できる学生が少ないなどの問題を抱える大学が一部で見られる現状から、「学生の質の維持に課題がある大学が存在する」と指摘。
その上で、「6年制の薬学教育を受けている以上、薬剤師免許を取得することが当然」と明記した。
人口減少や将来的に薬剤師が過剰になると予想した需給推計の結果を踏まえ、「入学定員の抑制も含めて教育の質の向上に資する、適正な定員規模のあり方や仕組みを早急に検討すべき」とした。ただ、国家試験合格者数については、薬剤師を養成する大学の役割を踏まえ、慎重に考える必要があるとした。
国家試験の内容に関しては、2022年度を予定している薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂後、新コアカリに基づいた出題基準を検討すべきとした。また、基礎知識分野の問題を軽減した上で、医療薬学や臨床薬学など実務に即した思考力を判定する問題を充実させるよう求めた。
大学のカリキュラムにも注文をつけた。医師等と比べて不足している臨床実践能力を養うため、病態生理学や解剖学など臨床に関する内容をさらに充実させ、在宅医療に対応するため介護分野の内容も必要と提言した。
博士課程に進む学生が減少している現状にも問題意識を示し、博士号を持つことの重要性を学生に認知させると共に、働きながら博士号を取得しやすくする方策も求めた。
一方、薬剤師の業務・資質向上については、薬剤師免許の取得直後に医療機関、薬局での臨床研修が有効とし、実習と研修の質を確保することを前提に、卒前・卒後で一貫した検討が必要とした。
国民が薬剤師の存在意義を実感できるよう業務の変化が求められるとして、薬剤師が実施したことに対する患者の行動変容が重要とし、対人業務を中心とすることで得られた患者への成果を把握すべきとした。
構成員からは、「卒後に行うべきことをもっと明確にすべき」など、卒後研修に関する記載に指摘が相次いだものの、取りまとめ内容を了承することで結論とした。
取りまとめ内容の一部は、引き続き同検討会で議論する予定である。医薬・生活衛生局総務課は「正式に取りまとめた上で検討したいが、年度内に何らかの動きがあるのではないか」との見通しを示した。