後発品をめぐっては、小林化工を発端に、日医工、さらに5月には長生堂製薬が31品目の自主回収を開始するなど製造不正が相次いで報告されている。製品の自主回収や出荷停止の余波を受け、他の後発品メーカー製品が代替需要に対応しきれず、やむなく出荷調整となり、先発品に戻るケースや先発品の一部でも出荷調整になる事例も出ているという。
こうした中で都薬は、後発品の使用促進を図る薬局が発注しても納品が滞り、患者に後発品の使用を勧めても不信感を訴えられている状況などを明らかにし、今後の対応策につなげるため、18日まで会員薬局の管理薬剤師を対象に都薬ホームページ上でウェブ調査を実施する。
製品回収や承認取り消しとなった製品の代替品にどう対処したかや、新規採用医薬品の注文取引に関する質問も準備している。調査結果は日本薬剤師会を通じて、国や業界団体に伝達する方針。
永田泰造会長は11日の定例会見で、薬局での医薬品提供体制について、「医薬品卸の協力もあり、何とか凌げる状況にはあるが、薬局112軒を対象とした調査では、63%が『納品が滞り、調剤業務に影響が出る』と回答している」と厳しい状況を説明。
その上で、「東京の後発品使用率は75%あったところから、1月時点で73.1%まで下がり、47都道府県中最下位に転落した」とし、「2023年度末までに数量シェアを全都道府県で80%以上との目標を立てているが、東京でこれを達成できるのか」と後発品の供給体制に強い懸念を示した。
緊急時に医薬品の供給調整を行うことができる「医薬品供給調整スキーム」についても、「2~3カ月前に欠品が分かっても、急に増産や製造委託はできない。後発品については、われわれが努力しても弾がなければどうにもならない。厚生労働省は制度を作るだけではなく、現場の状況を見ているのか」と国の対応を批判した。
一方、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)の原案で、一定期間内に処方箋を反復利用できる方策を検討すると明記されたことに言及。「制度上歪められていた処方のあり方が適正になり、薬剤師が行うべき薬学的管理が踏み込んだ形で進められるようになるので、医師の皆さん方には了解してほしい」と要望した。
同じ処方箋の内容で繰り返し発行するといった無駄を防ぐことができ、「処方料の問題も含めて解決する手段になるのではないか」との考えを示した。