■薬価研調査で判明
日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会(薬価研)は、4月に実施された初の中間年薬価改定に関する研究報告をまとめた。企業を対象としたアンケート調査では、改定処理が適用された品目のうち、薬価が引き下げられた品目の比率は77.9%を占め、改定影響率は4.4%となった。企業からは「数多くの品目が改定対象となったことは、企業に対する影響が非常に大きい」と経営への打撃を懸念する声が目立った。
■安定確保品にも影響
薬価研は、薬価研運営委員会社55社、日本ジェネリック製薬協会(JGA)32社、米国研究製薬工業協会(PhRMA)・欧州製薬団体連合会(EFPIAジャパン)22社の計90社に対し、2021年度改定に関する調査を実施した。
改定における影響率は全体で4.4%で、薬価研では3.7%、JGAでは8.9%、PhRMA・EFPIAでは2.9%となった。今回の改定で何らかの改定処理が適用された品目数は、9386品目(77.1%)に上った。
改定処理が適用された品目のうち、改定薬価が引き下げられた品目の比率は77.9%で、薬価研では79.4%、JGAでは73.0%、PhRMA・EFPIAでは87.2%を占めた。薬価が引き上げられた品目は全体で11品目(0.1%)にとどまった。
新薬創出等加算の要件を満たしている品目数は1万2175品目のうち502品目(4.1%)で、薬価研では4.4%、JGAでは0.1%、PhRMA・EFPIAでは22.1%あった。
新薬にも影響が出ており、平均乖離率以内の品目で改定処理が適用された品目は、薬価研で141品目(35.3%)、JGAで4品目(57.1%)、PhRMA・EFPIAでは121品目(42.2%)あった。
基礎的医薬品が適用された品目数は、薬価研で529品目、JGAでは149品目、PhRMA・EFPIAでは35品目となった。
アンケート調査のコメント欄では、改定対象範囲が薬価調査の平均乖離率0.625倍超となったことに対する不満が相次いだ。「数多くの品目が改定対象となったことは、企業に対する影響が非常に大きい」「新薬創出等加算対象品目まで改定対象になったことには大きな疑問がある」との意見や、「中間年改定の決定プロセスが不透明だった」との声も多かった。
薬価研は、アンケート調査から「今回の改定の規模の大きさを再認識すると共に、各社の経営やその予見性に大きな影響を与えるものであったとうかがえる」との見解を示した。
アンケート調査とは別に、薬価研が21年度薬価改定の分析を行ったところ、医療上不可欠であり、安定確保について特に配慮が必要な「安定確保医薬品」に該当する可能性のある4251品目のうち、2772品目(65.2%)が薬価引き下げとなっていることが分かった。
分析結果によると、薬価引き上げは9品目(0.2%)にとどまり、薬価維持は1470品目(34.6%)となっていた。薬価研は「中間年改定の基準が平均乖離率を下回る基準とされたので、安定確保医薬品では半分以上が対象となっていた」と分析した。
安定確保医薬品に指定された医薬品の中には、長期収載品の追加的引き下げ、G1、G2ルールに該当する品目も一定程度確認されているという。その上で、「安定確保医薬品に該当するのであれば、長期収載品のG1、G2ルールから除外する必要があり、基礎的医薬品の要件に安定確保医薬品を含めることも検討すべき」とし、薬価上の措置を求めた。