文部科学省は、薬学教育モデル・コアカリキュラムを2022年度に改訂し、24年度入学生から適用するスケジュールを固めた。医療職種に必要な素養を項目として盛り込むことで、並行して改訂される医学、歯学のコアカリと足並みを揃える。臨床教育を重視した内容にすることなどを求めた。厚生労働省検討会による提言案の反映については、「これからの検討課題」としている。
スケジュールは、4日の国公立大学薬学部長会議で示されたもの。6年制薬学教育で修得すべき知識、技能等の能力に関する目標を示したコアカリをめぐっては、文科省の委託を受けた日本私立薬科大学協会が「6年制薬学教育制度調査検討委員会」を立ち上げ、現行コアカリの課題抽出、次期コアカリの方向性等を議論している。
改訂スケジュールを見ると、同委員会の考えを今年度中に取りまとめた上で文科省に報告。その後、省内に検討会を立ち上げ、具体的な改訂内容を議論するとしている。
22年度に改訂を完了させ、翌年度の準備期間を経て、24年度入学生から改訂コアカリを適用する予定である。
医学、歯学のコアカリも同様に22年度改訂としており、チーム医療の推進、医療分野の進歩、社会情勢の変化等を考慮し、「医療人として共有すべき価値観」を共通項目として盛り込み、大項目、基本的資質等の内容について整合性を取る。医療職種に必要な素養について、医学、歯学の現行コアカリに記載している内容のうち、適切と判断したものを薬学のコアカリにも盛り込む方針だ。
改訂コアカリのあり方に関しては、厚労省が4日の「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」で示した取りまとめ骨子案でも、「今後の薬剤師が目指す姿を踏まえたものにすべき」と言及されていた。
具体的には、▽今後の実務実習のあり方を検討する▽臨床現場の実態を学習できる内容にする▽薬科大が他の医療系学部を持つ大学と連携する――ことなどを提言し、現在の薬学教育に不足している現場の視点を重視した内容を求めていた。
文科省高等教育局医学教育課は、提言が改訂コアカリの検討に与える影響について、「薬学関係者の意見を聞きながら、コアカリにどう反映させるか検討したい」との考えを示している。