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下水中の新型コロナ濃度で感染者数推定、数理モデル構築-東北大ほか

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2021年06月11日 AM11:30

新型コロナ感染者糞便中の排出ウイルス量時間変動データを用いて

東北大学は6月10日、下水中の新型コロナウイルス濃度から下水集水域の感染者数を推定するための数理モデルを構築したと発表した。この研究は、同大大学院工学研究科・環境水質工学研究室の佐野大輔教授、同大大学環境科学研究科、医学系研究科および北海道大学の研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Water Environment and Technology」に掲載されている。


画像はリリースより

世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るう中、下水中の新型コロナウイルス遺伝子を検出することで感染流行を早期検知する下水疫学に期待が寄せられている。下水疫学調査は、感染者の存在を突き止めるために行われている、人を対象としたPCR試験と併用することで、感染流行の早期検知に貢献可能であると考えられている。

今回の研究では、新型コロナウイルス感染者が糞便中に排出する新型コロナウイルス量の時間変動に関わるデータを用いることで、陽性診断者数から下水中の新型コロナウイルス排出量、および排出者数(症状が出ていない不顕性感染者を含む)を推定する数理モデルを構築した。

検出感度「高」方法使用で第1波は4/11、第2波は7/11に検知可能だった結果に

東京都(23区、八王子市および町田市)でのCOVID19患者数データを同モデルに適用して得られた下水中の新型コロナウイルス濃度の推定値と、世界中の多くの地域で採用されている従来型の下水中の新型コロナウイルス検出手法による検出感度を比較。その結果、従来型では検出感度が悪いために感染流行を早期に検知することができないことが示唆された。

それに対し、北海道大学と塩野義製薬株式会社が2021年に発表した、検出感度が従来法と比べて100倍高い方法が2020年から使用可能だった場合、第1波は4月11日、第2波は7月11日に感染の拡大を下水調査により検知可能であったとの結果が得られた。

なお、同手法は、下水中の固形物から効率良くウイルスRNAを抽出し、2段階の核酸増幅工程からなる定量PCR法により新型コロナウイルスRNAを高感度に定量検出するものだ。

不顕性感染者を含む感染者総数の推定値把握に期待

今回の研究で構築した数理モデルを用いることで、下水中の新型コロナウイルス濃度から症状が出ていない不顕性感染者を含む感染者総数の推定値を逆算により得ることが可能となるという。COVID-19流行把握を目的とした下水疫学的手法のさらなる適用拡大が今後期待される、と研究グループは述べている。

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