新型コロナ感染後の免疫、少なくとも1年は持続か
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)回復後に再感染する可能性は非常に低いとする研究結果が報告された。パンデミックの初期に大きな打撃を受けたイタリア北部の住民の医療データを基にした研究から、COVID-19に罹患することで獲得した免疫は、少なくとも1年間は持続する可能性のあることが明らかになった。Ospedale G. Fornaroli(イタリア)のNicola Mumoli氏らが実施したこの研究は、「JAMA Internal Medicine」に5月28日掲載された。
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Mumoli氏らは、イタリアでのCOVID-19第一波のパンデミック(2020年2〜7月)の間に実施されたRT-PCR検査の結果を利用して、COVID-19への初感染と再感染の発生率を調べた。なお再感染とは、初感染と再感染の間に受けたRT-PCR検査で連続2回以上の陰性判定を受けており、初感染からの回復後90日以上の間隔を置いた検査で再び陽性判定を受けた場合と定義された。
総計1万5,075人の対象者(年齢中央値59歳)のうち、試験開始時に1万3,496人が新型コロナウイルス陰性(陰性群)、1,579人が陽性(陽性群)と判定されていた。中央値で280日の追跡期間中に、陽性群では5人(0.31%)で再感染が確認された。これら5人の再感染者のうちの4人は、病院勤務者や輸血のための通院者など、新型コロナウイルスに曝露する可能性が極めて高かったという。また、初感染から再感染までの間隔は、平均で230日以上と長いことも明らかになった。これに対して陰性群では、追跡期間中に528人(3.9%)で初感染が確認された。
こうした結果を受けてMumoli氏らは、「新型コロナウイルスへの感染により獲得した免疫は、少なくとも1年間は持続するようだ。この結果は、最近報告された、COVID-19のワクチンによる防御効果と同程度のものだと言える」と述べている。
米NYC Health and HospitalsのMitchell Katz氏は、「心強い結果ではあるが、それでも、既感染者もCOVID-19のワクチン接種は受けるべきだ」と主張する。その理由として同氏は、「まず、COVID-19罹患により獲得した野生型の新型コロナウイルスに対する免疫がどのくらい持続するのかが不明だ。また、獲得した免疫が、新型コロナウイルスの変異株に対してどの程度有効であるのかも分かっていない。さらに、全ての人がワクチン接種を受けることで、より広範な社会的ベネフィットが得られる」としている。同氏はまた、「自然感染により集団免疫が獲得されるまでには、長い時間がかかり苦痛も伴う。歴史的に見て、人類が唯一根絶に成功した感染症は天然痘だが、これは、自然感染ではなくワクチン接種による免疫獲得によりなされたものだ」と説明している。
Mumoli氏らも、「この研究結果は、既感染者がCOVID-19のワクチン接種をスキップしても良いことを意味するものではない」と強調する。また、この研究は、新型コロナウイルスの変異株が広がりを見せる前に実施されたものであるため、野生型のウイルスに対して獲得した免疫の変異株に対する有効性が不明である点に懸念を示している。
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