緊急避妊薬をめぐっては、海外90カ国で医師の処方箋なしに購入できる一方、日本では医療用医薬品で保険適用も認められていない。2017年に開かれた厚労省のスイッチOTC化に関する検討会では、性教育の遅れや対応する薬剤師の知識不足、安易な販売、悪用や濫用の懸念などを理由に否決されていた。
ただ、2020年12月に「第5次男女共同参画基本計画」で、処方箋なしで緊急避妊薬を利用できるよう検討することが閣議決定され、市民団体が5月28日に厚労省に対し、緊急避妊薬「ノルレボ錠」のスイッチOTC化を求める要望書を提出するなど、風向きが変わりつつある。
この日の会議では、緊急避妊薬のスイッチOTC化に向けた今後のスケジュール案が了承された。厚労省は、緊急避妊薬を処方箋なしで購入することが可能な国、医師の処方箋が必要な国のそれぞれの状況を調査することを説明した。
具体的には、海外における販売状況として、▽緊急避妊薬の販売・入手方法・場所・価格▽薬剤師の関与・役割・義務(購入希望者に対する説明内容)、医師(産婦人科医)の関与度合い、販売時のプライバシーへの配慮、販売・服用後のフォローアップ▽未成年への販売時の対応、虐待・性暴力被害が疑われる場合の対応――などを調べる。
緊急避妊薬の使用数や使用理由、使用者の年代、使用による人工妊娠中絶数の変化など、使用状況も調査するほか、医療へのアクセス状況やOTC医薬品の承認制度、性教育の状況なども幅広く情報を収集する予定である。
長島公之構成員(日本医師会常任理事)は、「オンライン診療で緊急避妊薬の処方が解禁となったが、実態としてどうなっているかが極めて重要。よく調べて報告してほしい」と要望した。
松野英子構成員(日本保険薬局協会常務理事)は、「薬剤師という立場で研修が進められている状況の中で、緊急避妊薬のOTC化に反対する立場にはないが、海外の調査だけではなく、日本での緊急避妊薬の販売状況、使用状況も示してほしい」と述べた。
笠貫宏座長(早稲田大学特命教授)は、「パブコメでは9割が賛成の意見であるなど、国民のニーズが高いのは事実。オンライン診療や国内外の動向を踏まえ、緊急避妊薬をどう位置づけていくのか議論してもらいたい」と語った。