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BCL-2阻害薬ベネトクラクスがAMLで適応追加、他薬剤と併用で治療成績の向上に期待

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2021年06月08日 PM01:00

抗悪性腫瘍薬/BCL-2阻害薬のベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ)が急性骨髄性白血病()で適応追加の承認を取得したことを受け、製薬会社のアッヴィは5月13日にセミナーを開催した。講演した九州大学大学院医学研究院の赤司浩一氏(病態機能修復内科学教授)と近畿大学医学部の松村到氏(血液・膠原病内科主任教授)は、ベネトクラクスと他の薬剤を組み合わせることで、AMLの治療成績が飛躍的に向上すると期待をにじませた。

AMLは悪性度が高く、治療困難な血液がんの1つで、患者の5年生存率は約28.7%1)にとどまっている。日本では全白血病の8割がAMLで、厚生労働省の患者調査(2017年)2)によると国内の総患者数は約7000人。50歳以上から発症率が上昇する。

AML治療では、強力な化学療法である寛解導入療法を行うが、日本血液学会の「造血器腫瘍診療ガイドライン」では同療法の適応基準として年齢(65歳未満)や全身状態、臓器機能などが定められており、特に高齢患者の場合、同療法が適応とならない問題があった。ベネトクラクスは遺伝子変異に依存しない分子標的薬。アポトーシス(がん細胞の自然死または自己破壊の過程)を阻害する体内の特定タンパク質BCL-2を標的とすることで、アポトーシスを回復させる作用を持つ。同薬は、強力な化学療法が適応とならない初発のAML患者にとって、新たな選択肢となる。

適応追加承認は、国際共同第3相臨床試験であるVIALE-A(M15-656)試験(+アザシチジン療法とプラセボ+アザシチジン療法の有効性・安全性を比較)とVIALE-C(M16-043)試験(+低用量シタラビン療法とプラセボ+低用量シタラビン療法の有効性・安全性を比較)に基づくもの。同薬はすでに、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)や小リンパ球性リンパ腫(SLL)で承認を取得しており、AMLは3つめの適応症だ。

血液がんに対する遺伝子パネル検査の保険収載、「あと3年のうち」

赤司氏はセミナーで、ベネトクラクスについて、「BCL-2の抗アポトーシス作用を抑制するだけでなく、白血病芽球のミトコンドリア代謝を抑制することで、遺伝子変異に依存しない抗白血病作用を示す」と解説。現在がんゲノム医療として、遺伝子変異を抽出し、それに対する阻害薬が開発されてきていることから、「(ベネトクラクスと)他の分子標的薬との併用による、AMLの治療成績の飛躍的向上が期待されている」と力を込めた。また、BCL-2の役割はまだはっきりしていないとして「ベネトクラクスがどのような疾患に効くか、今後も非常に興味を持つところだ」と、造血器腫瘍以外での適応拡大の可能性にも関心を寄せた。


赤司浩一氏(左)と松村到氏(右、アッヴィ提供)

セミナーでは松村氏も、ベネトクラクスと他の薬剤を組み合わせることによる治療効果に期待を表明。遺伝子パネル検査については、「固形腫瘍ではすでに保険適用となっているが、造血器腫瘍でもあと3年くらいのうちにおそらく保険適用が承認される」との見込みを示し、「(造血器腫瘍でも)遺伝子異常に対する治療法を個別の患者さんに提供できる時代がくると思う」と強調した。

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