ジョイクルは、生化学工業が3月23日に変形性関節症の効能・効果で承認を取得。5月16日に小野薬品が販売を開始し、使用患者数は約5500人と推定している。
これまでも臨床試験成績を踏まえ、添付文書の「重大な副作用」の項でショック、アナフィラキシーに関する注意喚起が行われているが、承認を取得した3月23日から5月28日までに重篤なショック、アナフィラキシーが10例報告され、そのうち患者の転帰では死亡が1例、回復が1例、軽快が1例、不明が7例となっている。
死亡したのは80歳女性。タクシーでの帰宅途中、自宅近くでアナフィラキシーショックを発症し、死亡した。最終投与から発症までの時間は不明としている。
厚労省は、死亡を含む重篤なショック、アナフィラキシーの副作用報告があること、発売後の短期間で複数報告されていることを問題視。投与直後だけではなく医療機関から帰宅後に発現している症例もあり、医療従事者や患者への注意喚起が必要と判断。ブルーレターの配布に踏み切った。
ブルーレターでは、緊急時に十分な対応ができる準備をした上で投与することや、投与後少なくとも30分間は医師の管理下で患者の状態を十分に観察することなどを注意喚起。添付文書に「警告」欄を新設し、「同剤投与により重篤なショック、アナフィラキシーが発現することがあるので、緊急時に十分な対応ができる準備をした上で投与し、投与後も十分な観察を行うこと」と記載した。
「重要な基本的注意」の項には、重篤なショック、アナフィラキシーが発現することがあるため、投与に際しては緊急処置を取れる準備をすることや投与中・投与後には患者の状態を十分に観察するよう求めた。
また、「ショック、アナフィラキシーが発現する可能性があることなどを患者や家族に十分に説明し、異常が認められた場合には速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること」も追記した。