IL-17A・IL-17F阻害剤、日本でも承認申請中
UCB SAは4月23日、治験中のIL-17A・IL-17F阻害剤ビメキズマブについて、中等度~重度尋常性乾癬患者対象に有効性および安全性を評価した第3相試験BE RADIANTおよびBE SUREの結果がThe New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載されたと発表した。第3b相BE RADIANT試験の結果は、American Academy of DermatologyVirtual Meeting Experience 2021の ate-breaking oral presentationでも発表されている。
ビメキズマブは、炎症性サイトカインであるIL-17AとIL-17Fをともに選択的にかつ直接的に阻害するヒト化モノクローナルIgG1抗体。IL-17Fの生物学的特性はIL-17Aと同様で、IL17Aとは独立して炎症を促進する。同剤は、IL-17AとIL-17Fを選択的に阻害することで、IL-17Aのみの阻害より大きな炎症抑制が期待されている。同剤の有効性と安全性は、さまざまな病態において現在評価中。全世界において未承認だ。
ビメキズマブは現在、中等度~重度の成人尋常性乾癬治療薬として米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)で承認審査中。日本では、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症の効能又は効果に係る製造販売承認申請中だ。
ビメキズマブとセクキヌマブの有効性と安全性を比較したP3b試験
BE RADIANT試験は、中等度~重度の尋常性乾癬患者(成人)において、ビメキズマブと既存の生物学的製剤セクキヌマブの有効性と安全性を比較した第3b相試験。主要評価項目である16週目の乾癬面積・重症度指標(PASI)のスコアがベースラインから100%改善(PASI 100)達成率は、ビメキズマブ群がセクキヌマブ群を有意に上回った(61.7%vs48.9%、p<0.001)。また、全ての順位付けされた副次評価項目も達成され、ビメキズマブの優越性が示された。
16週目にみられた高い皮疹の完全消失は48週目まで持続し、ビメキズマブ群のPASI 100達成率は67.0%に対して、セクキヌマブ群は46.2%(p<0.001)。48週目のビメキズマブ維持投与群(4週間ごとに投与した群[Q4W]と8週間ごとに投与した群[Q8W])のPASI 100達成率は、いずれもセクキヌマブ群より有意に上回った(p<0.001)。4週目のビメキズマブ群におけるPASI 75達成率は、セクキヌマブ群を有意に上回った(71.0%vs47.3%、p<0.001)。
なお、ビメキズマブの安全性プロファイルはこれまでの臨床試験と一致しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。同試験で、ビメキズマブ群に最も多く見られた有害事象(TEAE)は、上気道感染(38.9%)、口腔カンジダ症(19.3%)、尿路感染症(6.7%)。口腔カンジダ症は主として軽度または中等度で、中止に至った例はなかった。48週間の重篤な有害事象発現率はビメキズマブ群で5.9%、セクキヌマブ群で5.7%だった。
ビメキズマブとアダリムマブの有効性と安全性を比較したP3試験
BE SURE試験は、中等度~重度尋常性乾癬患者(成人)においてビメキズマブの有効性と安全性をアダリムマブと比較した第3相試験。結果は、European Academy of Dermatology and Venereology(EADV) Congress 2020で報告されている。
同試験では、16週時点でのPASI 90および医師による全般的評価(IGA)スコア(消失またはほぼ消失(IGA 0/1))による複合主要評価項目が達成され、ビメキズマブ投与群の方がアダリムマブ投与群より優れた皮疹消失を示した(p<0.001)。これらの結果は、この試験で順位付けした副次評価項目が全て達成されたことでも裏付けられたとしている。
ビメキズマブの安全性プロファイルはこれまでの臨床試験と一致しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。
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