この日の部会では、疾病等報告の取り扱いと届け出・変更手続きの合理化を論点に検討した。現行法では、臨床研究の因果関係が疑われる疾病を期限内にCRBに報告することとしている。
期限は医薬品医療機器等法を参照しており、既知で重篤な有害事象を対象に、既承認薬は30日、未承認・適応外薬は治験計画の届け出から1年ごとの「定期」としているが、薬機法は製造販売後の副作用報告に関する体系が臨床研究と異なるため、報告期限を変更すべきか議論した。
山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「CRBには被験者保護の責任があり、ある程度の症例数を把握すべき。30日で揃えた方が良い」とした。
藤原康弘委員(医薬品医療機器総合機構理事長)は、薬機法でも医師等が重篤副作用疑い症例を行政に報告する義務を課していることに言及。「他の仕組みで30日で報告を上げても実効性が低い。既存の仕組みを活用するのが先決」とし、30日ではなく定期的な報告に統一するよう求めた。
一方、特定臨床研究の内容を一部変更する場合、現行法では事前にCRBから意見聴取した上で厚生労働省に届け出る必要があるが、研究者の氏名と住所については軽微な変更として、CRBに事後通知することを認めている。
一部変更のたびにCRBから意見を聴取するため、時間と費用の増大が懸念されるとして、軽微な変更の範囲拡大についても議論した。
山口氏は、「軽微な変更の範囲がかなり限定的で、該当する部分を増やすべき」とする一方、「グレーゾーンもあるので、範囲に該当すると判断した理由をCRBの事務局が明示し、委員がチェックできる仕組みが必要」との考えも示した。
掛江直子委員(国立成育医療研究センター生命倫理研究室長)は、「委員が変更箇所を常に見ることは難しい。年1回の定期報告時に変更箇所をリストとして示せば、様々な内容を軽微な変更に落とし込めるのではないか」と述べた。