薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会は24日、第一三共の国内初となる癌治療用ウイルス「デリタクト注」(一般名:テセルパツレブ)など2件の製造販売承認を審議し、デリタクトを7年間の条件・期限付き承認、その他1件を通常承認で了承した。厚生労働省は、1カ月以内をメドに承認したい考え。
デリタクトは、有効成分のテセルパツレブを含有し、悪性神経膠腫を効能・効果とする。遺伝子組み換え単純ヘルペスウイルス1型で、癌細胞に感染させることでウイルスが増殖し、対象の細胞を死滅させる。癌に対してウイルスを用いた治療剤の登場は国内初。また、遺伝子治療薬では、アンジェスのコラテジェン、ノバルティスファーマのゾルゲンスマに続く3件目となる。
用法・用量は、1回当たり1mL(1×10の9乗PFU)を腫瘍内に投与する。1回目と2回目は5~14日間隔、3回目以降は前回投与から4週間間隔で投与し、投与は6回までとした。
7年間の条件・期限付承認で、期限後に改めて行う製造販売承認申請までの期間中は、全症例を対象に製造販売後承認条件評価を行うことや、緊急時に十分対応可能な医療機関で同適応の治療経験のある医師が対応することなどを承認条件とした。
海外承認はない。2016年に先駆け審査指定再生医療等製品、17年に希少疾病用再生医療等製品に指定されている。
また、「オキュラル」(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)は、ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シートで、角膜と結膜の境目である角膜輪部が負傷して視力障害を引き起こす角膜上皮幹細胞疲弊症を効能・効果とする。患者の口腔粘膜組織を採取した上で分離した口腔粘膜上皮細胞を培養し、シート状に形成。これを角膜輪部に貼付して角膜上皮を修復する。
再審査期間は10年。治験症例が極めて限定的であるため、承認条件として、再審査期間が終了するまでの間は全症例を対象に使用成績調査を実施し、有効性・安全性に関するデータを早期に収集し、適正使用に必要な措置を取ることなどを求めている。
海外で承認している国・地域はなく、20年に希少疾病用再生医療等製品に指定済み。