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薬剤師のワクチン接種検討-河野担当相「俎上に載せる」

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2021年05月21日 AM10:15


■日薬も筋注など研修開始へ

政府内で薬剤師による新型コロナウイルス感染症ワクチン接種を検討する動きが加速している。河野太郎ワクチン担当相は18日の閣議後会見で、医師や看護師、歯科医師で打ち手を確保できない場合に薬剤師を接種の担い手に加えることについて「テーブルの上に載せようと思っている」と述べ、検討対象とする考えを示した。これを受け、日本薬剤師会も薬剤師向けに筋肉内注射の手技訓練など研修実施に向けた準備を進めると表明。これまで慎重だった日本医師会も限定的に容認する考えを明らかにするなど、薬剤師のワクチン接種に向けた風向きは確実に変わりつつある。

薬剤師による新型コロナウイルス感染症ワクチン接種を求める声が強まっている。4月に関西エリアの12府県市が参画する関西広域連合会が新規感染者の急増を受け、薬剤師がワクチン接種に参画できるよう政府に緊急提言を行った。今月17日には、医師の八重樫牧人氏(亀田総合病院総合内科部長)らが署名を2万4000筆分以上集め、河野氏に提出していた。

河野氏は、「ワクチン接種については医師や潜在看護師の次の段階として歯科医師を加えたが、その次のグループとして薬剤師が入ってもらうことになる」と前向きな姿勢を示した。その上で、「医師や看護師、歯科医師でどれくらい打ち手不足が解消されるかも見ながら対応していきたい」と語った。

ワクチン接種は医師法で医行為と定められているため、現行法では薬剤師がワクチン接種を行うことができない。これまで薬剤師は、地方自治体や地域医師会の要請に応じ、集団接種を行う特設会場で問診や薬液充填業務などのサポート業務を手がけてきた。

日薬の山本信夫会長は、「ワクチン接種に慎重な立場は変わらない」としつつ、国民に対して速やかにワクチン接種を行う必要がある日本の状況を“国難”と表現し、「薬剤師を検討対象に入れるという政府からの発言を重く受け止めている。社会的要請に対し、われわれはできませんと拒否することはできない」と決意を表明する。

ワクチン接種における薬剤師の役割については、「問診や薬液充填の業務が第一義」とする一方、「医師や看護師、歯科医師が確保できず、円滑な接種が行えない事態が想定された場合には薬剤師が本来の役割を超えて参画する必要がある」と述べ、医療チームの一員として対応する姿勢を強調。「接種を実施するに当たっての法律上の課題をクリアすることが前提になるが、先行して準備だけは進めておく必要がある」と話す。

7月末には高齢者接種が完了する見込みにあるため、なるべく早い段階で筋肉内注射の手技訓練などの研修を始めたい考えだ。薬剤師がワクチン接種を行う海外の事例を参考に研修プログラムを組み上げる。

薬剤師によるワクチン接種については各地域の薬剤師会が主導するのではなく、「厚生労働省との手続きもあるため、日薬がコントロールすることになるのではないか」との考えを示している。

18日には、日医と日本歯科医師会、日薬、日本看護協会が全国でワクチン接種を速やかに行えるよう「新型コロナワクチン接種推進合同会議」を立ち上げている。日医の中川俊男会長は19日の定例会見で「薬剤師によるワクチン接種は全面的にノーとは言わないが、各地域の状況を勘案して医師や看護師、歯科医師を確保できない場合の次の選択肢としてあり得る」と限定的に容認する考えを示しており、さらなる追い風となりそうだ。

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