官民対話では日薬連や製薬協、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)など産業界のほか、日本医療研究開発機構(AMED)からヒアリングした。
日薬連の手代木功会長は、▽新型コロナウイルス感染症に対する製薬産業の対応の支援▽研究開発力強化に対する対応▽薬価▽医薬品の安定確保▽アジア健康構想に基づく国際化の推進▽ジェネリック医薬品▽セルフメディケーションの推進――と7項目の支援を要望。
手代木氏は、4月に実施された中間年改定による影響で、日本市場の魅力が低下する可能性を危惧。薬価の予見性を高め、日本市場の魅力を取り戻すためには、「特許期間中の薬価について適正な薬価水準が維持されることが重要」と訴えた。
新型コロナウイルスへの対応では、日本発のワクチンや治療薬の迅速な使用を可能とする「日本版EUA」の法制化や、条件付き早期承認制度を新型コロナウイルス感染症にも適用を拡大することを提案。
そのほか、多剤耐性菌治療薬に対するサブクリプションモデルなど新たな償還制度導入や、国産ワクチンと治療薬の買い取り、国家備蓄の確約などを求めた。
厚生労働省医政局の林俊宏経済課長は、「重要な指摘だが、どこまで医薬品産業ビジョンに盛り込めるかは今後の検討課題」との認識を示した。
製薬協の中山讓治会長も「革新的新薬が適切に評価される日本市場にすることが重要」と主張。グローバル企業は、一般的に新薬の独占的期間と薬価水準の予見性によって投資を優先する市場を決定するため、革新的新薬への迅速なアクセス確保に向けては「欧米先進国と同様に、特許期間中の薬価が維持される仕組みとすべき」と要望した。
また、「医薬品産業に対する国民の理解が低いと感じている。薬価がどのように決められているか知らない人たちも多い。国としてもっと展開してほしい」と要望し、国民への理解を深めるための国による啓発活動を重要課題に挙げた。