大麻成分を用いた製品の輸入や製造等に関して、現行の大麻取締法では、有害成分のテトラヒドロカンナビノール(THC)を含有する葉や未成熟の茎等は規制対象、樹脂を除いた成熟した茎等は規制対象外とするなど、大麻草の部位に応じた規制を行っている。
ただ、実際にはTHCの有無に着目して取り締まりが行われていることを踏まえ、見直し案では成分に応じた規制を提案した。
諸外国では、てんかん治療剤など大麻由来の医薬品が承認されている一方、国内では認められていない。そのため、同法の見直しにより、幻覚作用を持たないカンナビジオール(CBD)含有製品の製造等を可能とし、THC含有製品については、免許制度など流通管理の仕組みを導入することを前提に使用できることとした。
現行法では、大麻の栽培農家が成育過程で大麻成分を吸引して「麻酔い」する場合を考慮し、使用罪が規定されていない。
しかし、実際には麻酔いが確認されていないこと、警察庁の調査結果では使用罪がないことで大麻を使用した検挙者が2割に及ぶ現状を踏まえ、使用罪を創設することも提案した。
見直し案について、委員からは「THCという成分に問題があることが明らかで、大麻草に由来するかどうかではなく成分に着目して規制するのは適切」「成分に着目した規制に舵を切る必要があり、抽出されたCBDを医療に活用する道を開くべき」など、成分に着目した規制、大麻由来成分を医薬品として使用する案に否定的な声は出なかった。
一方、使用罪の創設については、「使用者がより相談しにくい環境が生まれる。正確な情報提供や普及啓発をしないと使用に至った背景が見過ごされるので、創設には反対」「クラブ等で受動喫煙してしまった人が誤って逮捕される可能性もあり、慎重に検討すべき」などの意見が上がった。
「使用罪がないことの意味を誤って捉えられることは問題で、使用はダメだとメッセージを打ち出す意味がある」と肯定的な意見もあった。