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根治手術を受けた肺がん患者の心理調査結果を発表-アストラゼネカ

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2021年05月18日 PM01:00

「再発を遅らせるなら術後補助化学療法を受けたい」が70%

再発の時期を遅らせるだけだとしても、再発しない期間が大切――。製薬会社のアストラゼネカは5月11日、根治手術を受けた肺がん患者さんの術前・術後の心理について調査した結果を発表した。調査結果から、術後補助化学療法を受ける意見に共感した患者は、再発しない期間の延長を希望していることが明らかになった。

調査は、肺がんの根治手術を10年以内に受けたⅡ-Ⅲ期の患者(医師から術後補助化学療法の説明を受けた患者101名、医師から術後補助化学療法の説明を受けていない患者 30名)を対象に2020年10~11月、Webで実施した。調査目的は「根治手術を受けた肺がん患者が術前・術後に抱く不安や心情を理解するとともに、患者の術後補助化学療法の実施を検討する際に、重視し影響を受ける点を把握する」ことだ。

調査結果によると、術後補助化学療法の説明を受けた患者(n=101)のうち、術後補助化学療法を受けたのは74%。内訳は経口薬が16%、点滴薬が84%だった。患者の情報入手先は、80%が医師からの説明で、次いで家族の意見が8%、書籍が4%だったという。再発への不安は、手術前(83.1%)、手術後(77.2%)、術後補助化学療法実施時(71.9%)といずれの過程でも高かった。また術後補助化学療法実施時では抗がん剤の副作用に対する不安が77.3%に上っていた。

補助化学療法に対する考えについて、受ける側、受けない側での代表的な意見を示し、共感するかどうかを尋ねた質問では、「手術だけでも治る可能性もあり、術後補助化学療法を受けても受けなくても、再発する可能性は変わらないかもしれないが、術後補助化学療法で再発を年単位で遅らせるなら、今やれることはやっておきたい」「副作用があっても、再発した場合の自分の生活や気持ちが再発前とは変わってしまう可能性があるため、その時期を遅らせたい」とした“術後補助化学療法を受ける意見”に共感した患者は70%。一方、「手術だけでも治る可能性もあり、術後補助化学療法を受けても受けなくても、再発する可能性は変わらないかもしれないので、術後補助化学療法で再発を年単位で遅らせるとしても、抗がん剤治療は再発してからでよい」「術後補助化学療法の副作用の症状や強さによっては、自分の生活が、がんになる前とは変わってしまう可能性があるので、それは避けたい」とした“術後補助化学療法を受けない意見”に共感した患者は30%にとどまった。

“術後補助化学療法を受ける意見”への共感部分は、「再発を年単位で遅らせるなら今やれることはやっておきたい」が100%、「再発によって自分の生活や気持ちが変わってしまうのは避けたい」が94%。「副作用があるのは仕方ない」は93%だった。

“術後補助化学療法を受けない意見”への共感部分は、「手術だけでも治る可能性や術後補助化学療法を受けても受けなくても再発する可能性がある」が90%、「再発を年単位で遅らせるとしても抗がん剤治療は再発してからでよい」が80%、「副作用によって自分の生活や気持ちが変わってしまうのは避けたい」が83%だった。

適切な情報へのアクセスをサポートすることが重要

同日のセミナーで調査結果を報告した兵庫県立がんセンターの里内美弥子氏(呼吸器内科部長)は、調査に回答した患者さんの多くが治療選択の際に医師からの説明を頼りに判断していたことを踏まえ、「治療選択の意思決定をサポートするために、医師からの説明に加え、適切な情報へのアクセスをサポートすることが重要だ」との考えを表明。診療の際は患者に対し、「1人で調べるのではなく、何かあれば質問してほしい」と話し、インターネット上にさまざまな情報があることに気を付けるよう指導していると説明した。

再発しない期間の延長については、治癒への期待、子どもの独立など個人的な人生のイベントの達成や健康寿命の延長、再発後の新たな治療法への期待につながっており、患者にとって重要だと強調した。

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