新型コロナウイルス感染症ワクチン接種の担い手が一部地域で不足する中、医師の八重樫牧人氏(亀田総合病院総合内科部長)らは薬剤師を接種の担い手に加えるよう求める署名を2万3000筆分集め、きょうにも河野太郎ワクチン担当相に提出する。法改正や特例での接種により、接種率の向上を目指したい考えだ。
医療関係者や65歳以上の高齢者へのワクチン接種が全国で進められている一方、接種の担い手である医師や看護師の不足が課題となっている。
そのため、4月から歯科医による接種が特例的に認められたものの、他の先進国と比べて日本の接種率は低いのが現状。集団免疫の獲得に必要とされる人口の7割接種までには、来年3~6月までかかるとの試算も出ている。
八重樫氏らは、担い手を増やして接種を加速させることを目的に、薬剤師を担い手に加えるよう国に求めるオンライン署名を実施。11日までに2万3000人以上の賛同を得た。
実際の接種では筋肉内注射を行うが、医師法の「医行為」に当たるため、薬剤師が行うことは認められていない。
今回の署名では、筋注のトレーニングを受けることを条件に、法改正か特例によって薬剤師による接種を認めるよう求めている。
既に日本薬剤師会や日本病院薬剤師会には同様の要望を行っている。12日に厚生労働省内で記者会見した八重樫氏は、「6年制薬学部では医学を学んでおり、医師から見て筋注は簡単で信頼して任せられる。コロナ禍を早く抜け出すためには、薬剤師が接種できた方が良いのではないか」と訴えた。